じさつ願望、叶えて差し上げます (ページ20)

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第十九話　処罰　※ロスト注意ページ20

カシスside

「た、だいま、もどり、まし、た」

「！ツグミ医療室を開けて頂戴！！」

バタン、と何時もより力ないドアの音が開いたと思ったら……っ！

あれ、何故かしら。殆ど反射であっちが医務室を開けさせた…？

嘘でしょう、なんで、さっきまで死ぬなんて、なんともないと、思ってたのに…？

「ぼ、す…、もう、僕は、長くありません、最後に、ひ、とつだけ、おね、がい、しても、良いですか…」

「ええ、良いわ、なんでも言って頂戴、出来る事ならこのカシスが全てやってあげる」

「ぼ、くは、ちゃんと、できました、か…？」

「……えぇ、えぇ、出来ましたとも。ツグミ、声を掛けてあげて」

「……いままで、本当に有り難う。痛そうだけど、死ねて良かったね…！」

「う、ん、ぼ、くは、さき、にいって、るね…」

「うん、分かった」

「有り難うね。貴方の事は忘れないわ」

そう言って二人でアトリの手をぎゅっと握る。

死ぬときも一人じゃないことを分かって欲しい。何時までもあっちらは、貴方の事を忘れない。

そう思って目をのぞき込めば、腕がだらりと力無くたれた。

おそらく死因は出血多量。あの数を相手にしていれば勝つ事はほぼ不可能。

だから途中でミュックを向かわせたのに……、何故あの子は出てこなかった？

何故？どうして？あそこまで仲間を尊敬していたミュックが？

何故、どうして、何があった。もしも故意に向かわなかった場合は…。

……お仕置きをしなければいけないようね。

「オサム、ミュックを呼んで頂戴。もちろんその縄で捕らえてね」

「えっ、で、でも・・」

「良いから、早くしなさい。」

いつもは使わない命令口調で物を言う。それだけでもオサムはビクッとしてすぐに呼びに行った。

さぁて、どんなことをしようかしら。拷問？尋問？……今使えなくなると困るから尋問ね。

飴と鞭を上手く使わなきゃ。は～ぁあ、此から大仕事だっていうのに。

まあ……

「一肌脱いじゃおうかしら、ねぇ」

そういって、カシスは妖しげに笑った。