じさつ願望、叶えて差し上げます (ページ16)

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第十五話　一度だけページ16

「あれ、なんか開けた所にでたね、なんでだろ…？」

「ここは昔、誰か権力者が住んでたんでしょう、でも、多分今は……」

「……あぁ、先ほど見つけたからな」

「……また、救えなかった……」

重々しい空気に包まれる開けた、寒い場所。

ここは昔、権力者が束ねていたのだろう。

だが、もう今はシュビッシィーの魔の手が迫って、首を絞め……。

慣れて居るとはいえ、アレを見るのは少々心にくるものがある。

……ウェイはほとんどなんとも思っていない様だが。

そんな時、一回だけ聞いた銃声が轟く。

「何を話して居るのですか。
こんな所では格好の餌ですよ、さっさと逃げ惑って諦めて下さい」

「……あと、り…！」

「なんですか、「お姉ちゃん」。もう僕の前に現れないで欲しかったのですが」

「そ、そんな事言わないで！お姉ちゃんが、全部、全部悪いから、もうそんな事やめてこっちにきてよ…！」

アトリ。シュビッシィー構成員。

カシスも気に入る技量、性格、冷徹さ。そしてその場に合わせて選ぶ言葉。

そのアトリ特有の武器は、確実に、エンテェーにいる「姉」の心を蝕んで行く。

まんまとはめられてしまって。馬鹿みたい。

そんな事を思いながら、実の姉に向かって銃を構える。

「……オレは、姉弟の仲に手を突っ込むべきじゃないかもしれない」

「…なんですか。親友の死から目を背けた、元シュビッシィーさん」

「一つだけ言わせてくれ。」

アトリの言葉を無視して、ディアが前へと躍り出る。

シルクハットを持って、敬意を示す御辞儀をする。

右手には弓矢を、左手にはシルクハットを。

「一度失えば、もう元には戻らないものがある。それを覚えてくれれば、後は十分さ」

そう言うと、空中へと飛び上がって、即座に技を繰り出した。

〈ジャンピングスナイパー〉！！

一回目の戦いが、幕を上げた。