No,8 ページ8
リィリは気づかれない様にこっそりとサーカスのテントを出る。
他に何人かおかしいと気がついた者も居るようで、４〜５人出てきていた。
やっと安心できる。このまま逃げ切れば…！
その場に居る皆がそう思った時だった。
背後でねっとりした言い回しの声が聞こえた。
「あらあら、皆様どう致しましたか？まだまだショーの最中ですのに…」
リィリがすぐにでもバリアを展開し、皆を守ろうと振り返る
そこには洗脳されたセイルと、
先ほどの音の主と思われる、団長のタランテラが居た。
にっこりと笑っては居るが、その目は笑っては居なかった。
呆れているのか、それとも起こっているのか、それとも…。
念のため、そう思いながらリィリは手を出し、技を出そうとした…が。
「〈コインスロウ〉」
「い゛っ…！？」
「リィリしゃん！？」
自分の芸が終わったのか、こちらに来てしまった
副団長であるアルンに手を攻撃され、阻まれてしまう。
攻撃された手をささすっているリィリを見ながら、同じ場所にいたシュニムは思った
「(迂闊に動いたらちょっと…、いや、かなりやばいかもしれないじゃんこれ…！！)」
シュニム達はしばらくびっくりした動作のまま固まっていたが、
ふとタランテラの声で現実へと引き戻される。
「皆さん〜、まだショーは終わってませんし、お手洗いならあちらですよ〜？
早く席に戻っていただかないと困るんですよね〜…」
「私達はトイレに来たんではない。少し眠くなってしまってな。家に帰ろうとしていた所だ。」
「ホゥ…？何故デスカ？まだ団長サンのショーが残って居るの二。とっても残念デス…」
「それにその様子だと興奮していて眠れない様にも感じますが…」
アルンの言葉で顔を全員が顔を背ける。
ミソハギが言い様に嘘をついてくれたから助かった…と思いきや、
彼らは意外にもそういう物には鋭い様だ。
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