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No,7 ページ7

観客席は満員だった。

それもそうだろう、なにせスターライトシアター以来のサーカスなんだから。

ナーハのからくり箱、アリオのはらはら綱渡り、チュラのなんでも消すマジック。

メルの可愛らしい空中ブランコ、アルンの科学実験。

どれもサーカスの団員だけあってクオリティが高く、見入ってしまうような物ばかりだった。

団長と最初の挨拶で言っていた人は来ないな…とリィリは思っていたが、あえて口に出さなかった。

出したらなにか危ないような気がしたからだ。

スアレスは相変わらず少し興奮している様ではあるが、

他に人がいるからだろうか。

ぎゅっと口を結んでいた。

周りをみると、ステージを観てはいるが、ぼーっとした様な感じの観客が多かった。

やはり何かされてるのか、それとも皆眠いだけなのか?

否、それは無いだろう。

警戒しているとはいえリィリでさえ少しウキウキしてしまう様な芸なのだから。

そう思い早めに出ようとスアレスを無言でつつく。

そして声をかけようとしたのだが…

リィリはスアレスを見て気がついたのだ。


「スアレスまで…!?」


なんとなくぼーっとしているのは観客だけではなかった。

先ほどまであんなに興奮していたスアレスでさえぼーっとしているのだ。

必死でリィリはスアレスを助けようとぶんぶん揺さぶった。


「スアレス、スアレス、返事をして」


何回も必死に揺さぶっていると、ようやく意識が覚醒し始めたのかスアレスがリィリを見た。


「あれ…リィリしゃん…?」

「スアレス…!良かったわ。今すぐここから出ましょう、ここはなにか危ないわ」

「ばってんせっかくんサーカスなんやけん、もっとみたいんけど…」

「だめよ、なんとなくだけれどここに居たらだめな気がするの。さあ、逃げるわよ」

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作者名:ハイムーン | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年12月18日 21時

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