No,6 ページ6
そしてこちらはテントの舞台袖。
宣伝係のメル以外が待機している。もう少しで開演の時間なので、
メルはもう少ししたらくるだろう。
いつもぎりぎりらしいが…怒られないと良いね。
「皆、準備は良い？」
「ハイ！団長サン！今日もいっぱい操って見せます！」
「ほどほどにして下さいね、チュラさん。今回、餌はとても多いです。
怪しがられると困るので、少しずつ、ショーの中で洗脳して行く形で行きましょう」
「そうだね…何人くらいがいいんだろう…？」
「え、えっと！」
くるっと一斉に皆ナーハの方へ振り向く。
流石に一斉に自分の方をみられるとは思ってもみなかったのか、
びくっと体が震える。
もごもごしながらも勇気を振り絞ってナーハは言った。
「テントに入るのが60人くらいなので、丁度10人くらいで洗脳していけば良いのでは……」
「そうだね、ナーハ。
言ってくれてありがとうね〜、助かるよ〜。」
言い終わったのにもかかわらず、顔を真っ赤にしながらコートに顔を埋めている。
そんなナーハの頭をよしよし、となでながら副団長のアルンの方をふりかえって、言った。
「じゃあ今回は司会をアルンに頼むね。
敬語だし、紳士だし、第一印象は俺さん達の中で一番良いと思うからね〜。」
「分かりました、怪しまれないよう精一杯頑張ります。」
「だ、団長サン、ボクは？？」
「ん〜…論外かなぁ〜。Sだし、そのくせ俺さん絡みだとMでしょう？
キャラが定まってないとステージ上のパフォーマンスに集中できないでしょ〜？」
「うぅ…ぐうの音も出ないデス…」
「あっはは〜！チュラ君、可愛い〜」
そしていつの間にか来ていたメルにその事を思いっきりいじられる。
かぁぁーっとだんだん真っ赤になっていくが、それは恥ずかしさからではなく、
怒りからの様だ。
そんな感じでわちゃわちゃしていると、開演の時間まであと一分となった。
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