No,12 ページ12
中に入ると予想以上に頑丈に鉄骨組されたテントが目に入る。
その上からくすくす、きゃは、などと笑い声が聞こえるのは気のせいにしておこう。
通り道の周りにある風船を見ながら移動する。…今は割れてしまっているが。
そして舞台中央の近くまで行くと、急にスポットライトがつき始め、セイルの姿があらわになる。
サーカスに行って洗脳されるまでは情熱を宿し燃えていた目が、
今ではすっかり輝きを失い、虚ろに一点を見つめるばかり。まるでからくりの様に。
そしてピー…ガガ…とノイズが流れてから、アナウンスが流れる。
声的にはアルンの様だ。舞台裏からでも流しているのだろうか。
「皆様、今宵はサーカスに訪れていただき誠に有り難う御座います。
そんな皆様の期待に応えられるよう、今回は普段は滅多に見られない、サーカス団の裏の顔をご紹介致します。」
「まずはこちら、先ほど手に入れた情熱だけは一級品、宇宙を又にかける冒険家、セイルです」
「本当はもう少しだけ説明をしたいのですが…時間が押しているので手短にこれくらいで終わります」
「それでは、皆様。滅多に楽しめない参加型お遊戯をお楽しみ下さい!」
きっとセイルの敵意の籠もった目がポップスターの味方側に向く。
それと同時に羅針盤のついた鋭い剣をこちらに振る。
ビュン、と風を斬る音が鳴ったと思えば「ソレ」はフェリシアに当たっていた。
〈ソードビーム〉だ。体力満タン時のみ出てくる、剣から剣型の光線を放つ技。
「きゃっ!?」
「鬱陶しい敵だな。邪魔でしカ無い。」
「その言い方はないだろう!」
笑えるまでの姉妹愛でセイルに怒りを覚えたミソハギが先に突っ込んでいく。
怒りで頭が真っ白になった時の剣筋はとても単純になる。
セイルは難なく剣の軌道を先読みし、軽々とよける。
「なっ…!」
「そんなンじゃ僕に勝てやしないよ?」
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