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『おいしい…おいしい…!』

「あんまり頬張ると喉につまっちゃうよ」

『らいじょーぶ』



もっもっ、と団子を食べるAちゃんが可愛くて、目が離せない。
自分が食べるあんみつも、今まで食べたあんみつの中の何よりも美味しいのは彼女と食べているからだろうか。

Aちゃんは俺が食べた後のあんみつも、顔色も音も変わらずに食べた。
その幸せそうな顔が見られて良かったけども。
ちょっとだけ、複雑だ。



『ご馳走様でした!』

「ご馳走様でした」

「ありがとうございました!」



甘味処を出ると、もう日が暮れる所だった。
傾いた日の光がAちゃんの白磁色の髪の毛に反射して、とても綺麗だった。



『帰ろっか』

「うん、そうだね」



ああ、幸せだった時間ももう終わりかぁ
そう思うと寂しい。
ずっとこの時間が続けばいいのに。



『善逸ってやっぱり優しいね』

「え、どうして?」



急にAちゃんから褒められて、驚く。
思えば彼女は俺の事を、いつも優しいという。



『私が右腕を骨折してるから、右側を歩いてくれたんでしょう?
それに、甘味処で頼む品を考えていた時も私の事を気にしてくれてた』



Aちゃんは、俺がしたことにいつもそうやって気付く。
それが無意識のことだったとしても、優しいねだとか、すごいねだとか言ってくれる。

そういう所が俺は、たまらなく好きなんだ。



「…Aちゃんだからだよ」



自然に口から出た言葉。
気付けばもう蝶屋敷の前まで帰ってきていた。
もう、今しか二人で話す時間はない。



『え?』

「Aちゃんだから、優しくするの」

『でも善逸はみんなに優しいよ?』



確かに、かなり鈍感だ。
ここまで言っても何も分かってない。



「俺にとってAちゃんは特別なんだ」

『特別…?』

「うん
意味、分かってる?」

『特別って、大切ってこと?
私も善逸のことは大切だよ!』

「それだけじゃなくて…俺は」



足を止めてAちゃんの前に立つ。
目をじっと見て、彼女の左手に触れる。
どちらかのものか分からない、音が聞こえる。



「Aちゃんのことが」

「おいお前らどこいってたんだ!!
A連れ回しやがって紋逸!!」

「……ッ伊之助ぇ!!」

「なんだあ!?やるか!?」

「やりません!!」



今来る!?伊之助の野郎…!!
俺の勇気返せよぉお!!

伊之助に追い回される前にちらりとAちゃんを見ると、俯いて赤い顔をしていた。

…少しは伝わったのかもしれない。

28.みんなのお兄ちゃん→←27-3



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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , 原作寄り   
作品ジャンル:アニメ
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善逸推し - 面白かったです!この後の展開が気になります! (2020年8月16日 10時) (レス) id: 5160686bc8 (このIDを非表示/違反報告)
我妻咲耶 - もうほんっとサイコーです!!!! (2019年8月11日 4時) (レス) id: 3bb721340a (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 月影さん» コメントありがとうございます!本誌でのあの台詞を使うのはちょっと…と思い、あのような台詞になりました!とても嬉しいことばかり言って下さり、すごく嬉しいです!( *´ ∀ `)あまり早い更新ではありませんが、頑張ります! (2019年7月22日 23時) (レス) id: 0fe682c3ee (このIDを非表示/違反報告)
月影(プロフ) - 1番最初のお話から読まさせて頂いてます!今回の話で、夢主ちゃんの前に立つ善逸...イケメンすぎて危うく私倒れるところでした笑話の内容もとっても面白くて、何回も読み返してしまいます!これからの展開がとっても楽しみです!更新大変かもですが、頑張ってください! (2019年7月22日 6時) (レス) id: 140bc76271 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - ひにゃたこさん» コメントありがとうございます!がんばります(*´▽`*) (2019年7月17日 23時) (レス) id: 0fe682c3ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えり | 作成日時:2019年7月16日 23時

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