キスが出来ない14 ページ15
岩泉side
俺は1年の時から気付いていた。
Aが及川の事を好きな事。
あいつはたまにぼーっとする時がある。
どこを見てるかと思えば視線の先には女子に囲まれている及川の姿。
鈍感な俺でもすぐに分かっちまった。
でも本人はそんなこと自覚している様子はない。
話そうにもいつも及川が近くにいるから話そうにも話せない。
そんなある日の昼休み。
俺達は屋上で喋っていた。
でも何か及川がよそよそしかった。
貴「及川くん？どうかしたの？」
Aが聞くと待ってましたと言わんばかりの顔で言ってきた。
及「聞いて！俺ね…」
及「彼女が出来たんだ！」
俺は初めてこいつを本気でぶん殴りたいと思った。
貴「彼女?!どんな子?!可愛い？」
Aは無理矢理明るく振舞っているように見えた。
何故なら及川が彼女が出来たと言った瞬間Aの顔が歪んだ気がしたから。
いや、歪んでいたから。
及川には分からないくらい微かに。
そんなことには微塵も気づかない及川。
及「すっごい可愛いよ！ほらこれ！」
と、自慢げに彼女を紹介している。
この時Aは笑ってはいたものの目には苦しさと悲しさが出ていた。
午後の授業間に話していた間もずっとAは苦しそうだった。
そんなある日及川から朝早くに風邪だから学校を休むとメッセージが届いた。
俺はAに確認するチャンスだと思って声をかけたんだ。
「なあ、A。」
貴「岩泉くんどうしたの？」
「お前さ、及川の事好きだろ。」
貴「え？！」
予想通りの反応。
「無自覚かよ…。普段めっちゃ及川の事見てるぞ。」
貴「私、及川くんの事、好き…かも。」
それから今までに感じていた事全てを話してくれた。
「やっぱお前、及川の事好きだな。そんなに意識してたのに気づかないなんて鈍感にも程があるぞ。」
貴「ううう…。」
及川から鈍感と言われてる俺でさえ気付くのにこいつの鈍感さは俺も少しビビった。
だが俺はそんな2人を邪魔しようなんて思わない。
それはきっと及川もAの事が____だから。
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作者名：みれとん | 作成日時：2017年5月20日 15時
