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リベロとしては、対戦相手にあんなセッターがいたら厳しいだろうなとヒヤッとする。
ギリギリまで軌道が読めないもの。誰にトスするかの見極めが難しい。

ずっと影山くんの指先を見ていたけれど、ふと彼の横顔が目に入ってまたドキリとした。

生き生きしてる。

遠目ながら、あんな顔は見たことない。

バレーの話題に食いつくし、お昼も自主練してるくらいだから好きなんだろうなぁとは思ってたけど、

「バレー、ほんとに大好きなんだなぁ…」

つい呟くと、側にいた2人に何が?と聞き返された。耳聡い。

「あ、いや…影山くんがね、すっごい楽しそうだから、バレー好きなんだろうなって」

説明すると彼女らの頭が横に傾いだ。

「楽しそう?いつもと同じじゃない?」

「ん〜たしかに集中はしてるっぽいけど…私も楽しいって感じはしないなぁ」

影山くん、無表情だしね。

そう付け足されて今度は私の頭が傾ぐ。

「いつもと全然違うけどなぁ…」

「Aだからわかるんじゃん?」

曰くありげな表情で言われて、思わず顔が熱くなった。

「そういうんじゃないってば…バレーやってたからわかるだけ!」

「えっバレーやってたの?!」

「初耳!」

思っても無い方向に食いつかれて焦ってしまう。

「なんで部活入らなかったのさ」

「ちょっと…怪我しちゃって」

あちゃあなるほどね、そりゃしんどいわ。
おつかれさん、気にすんなよー。

一瞬の間が空いて、それとなく労われて、ふっと気持ちが綻んだ。
2人とも、なんで言わなかったの、とは口にしない。

そのかわり、頭をぐりぐり撫でられた。痛い。

「でもさぁ、経験者ってのと影山くんの表情がわかるのって関係ないんじゃないの」

いたずらっぽい顔で言われると、何も言えなくなってしまう。

「いいから!もう帰ろうよ、ずっといるよ!」

なんとなく恥ずかしくて腰を上げると、それもそうね、と2人ともそれ以上は追及しなかった。

帰り道、ふと『王様』という呼び名を思い出す。

あれだけ上手なんだったら、褒め言葉なんじゃないのかなぁ。なんで嫌がってるんだろう。
影山くん、呼ばれ方なんか無頓着そうなのに。

その一点は未だにわからない。







とりあえず、影山くんは、私が思っていたよりもずっとバレーボールが大好きみたいだ。



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作者名:たぬき | 作成日時:2019年8月23日 17時

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