【ハイキュー!!】黒蝉のかくれんぼ

samsara31 ページ33

「―――っ！？」

突然金田一が叫ぶ。

恐ろしいほどの殺気を感じる。

その殺気が俺に向けられた瞬間、金田一が俺を突き飛ばす。

「…うあ゛っ！！」

「き、金田一…！！」

俺は何が起きたのかわからず突然倒れた金田一の方へ駆けだす。

「来るな！！」

「っ！？」

その声に俺はピタリと止まる。

すぐ目の前に広がる“赤”は金田一から流れ出ていた。

「お前は…いつまでたっても俺の中で自己中で最低な王様だ…」

「…」

「いつか、その王様を倒してぇよ…」

「…き、」

「だから、俺に倒されるまで負けんなよ…！！絶対生きろよ…？」

「金田一…」

「これで死ぬとか…許さないからな…ッ！」

何か熱いものが目の奥からあふれ出てくる。

俺は必死にそれをこらえて金田一の言葉を聞いていた。

「だから……早く行け影山！！！」

「…でもお前は…」

「いいから行け！！！！」

「――――わかった」

俺は金田一に背を向けて走り出す。

絶対、絶対ここから脱け出してみせる。

…俺を倒すんだろ？

…だったらここでお前も負けんなよ。

俺はひたすらに長い長い廊下を走った。


＊


「…ははっ」

ダメだ。

負けんなとか言っといて俺がここで負けるとかな…。

何で大嫌いなアイツを助けたんだか…。

わけわかんねぇ…。

何で涙がこんなにも溢れるのかもわかんねぇ。

死ぬのが怖いのか？皆に会えなくなるのが怖いのか？

バレーができなくなるのが怖いのか？

…全部だ。

――――じゃあな、みんな


【――みぃつけたぁ】


グシャッ

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