【ハイキュー!!】黒蝉のかくれんぼ

samsara27 ページ29

「…クソッ」

徹が悔しそうに顔を歪める。

岩ちゃんもクロも辛そうな表情をしている。

私も口元を抑えて立ち尽くしていた。

【―――が、―――＊んじゃ…―――…たの…？】


「―――っ！！」

恐ろしいほどの寒気が襲う。

私は震えあがる。

頭が痛い。痛い。痛い。


【――――もういいかい？】


「ッ、げほっごほっ…げほっ…ッ！！」

猛烈な吐き気が襲い激しく咳き込んで床に座り込む。

「A！！」

岩ちゃんが一番に気づいて私に駆け寄る。

大丈夫かと言いながら私の背中をさする。

気持ち悪い気持ち悪い。

息苦しい。


ペタッペタッ

「やばい、また来た…！？」

不気味な足音が聞こえる。

…逃げなきゃ。

「逃げるぞ！！」

クロが大きな声で言う。

逃げなきゃ。

でも力が入らない、気持ち悪い。

「岩ちゃん、Aちゃんは俺が連れて逃げるよ」

「…わかった。…行くぞ及川、A」

「“A”、ちょっと我慢してね」

徹は私を抱える。

「と、おる…ごめん…」

「大丈夫だよ。それより、早く逃げないと」

徹は私を抱えたまま走り出す。


　 ＊

何とか逃げ切ったようだ。

私たちは廊下で立ち尽くす。

乱れた息を整えてできるだけ体力を回復する。

「…Aちゃん、大丈夫？」

「うん。…ごめん」

ペタッペタッ

「…また来た！？」

また足音が聞こえる。

ペタッ……ダッダッダッ…！！

「おい、走ってくるぞ…！？」

クロが焦りだす。

音はどんどん近づいてくる。

ダッダッダッ

どうしようもない。

「…構えとけ」

岩ちゃんの指示で手持ちのナイフを構える。

きっと今最も最善な策だろう。

恐怖のせいか手が震える。

「…え」

急に足音が聞こえなくなった。

不気味な気配も消えた。

…助かったの？

【――お兄ちゃん、あそぼ？】



「徹っ、離れろおおおおお！！！！！」

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