samsara15 ページ17
「…」
私は下を向いていた。
落ち着け。
きっとこれは何かの偶然だ…。
「…Aちゃん?」
「…」
「Aちゃん!!」
「っ!?…ご、ごめん何?」
徹が少し強張った顔で私を見ていた。
「どうかした?」
「あ、あのさ……みんな、聞いてくれる?」
こんなこと言ったって怖がらせるだけだ。
でも、伝えておいた方がいい…。
みんな何かを察したのか不安そうな顔で私を見る。
「さっきさ、走ってる時…赤い糸が落ちてたの。そしてコップの中に入っていたであろう水が流れ出ていて…米粒が床に散らばってた…。そして今西谷が飲もうとした塩水…」
「おい、それってまさか……」
岩ちゃんは私の言いたいことに気づいたのか顔から血の気がひく。
「…ひとりかくれんぼと…全く同じなんだよ…」
しん…と沈黙する。
しばらく黙っていた金田一が口を開いた。
「それってどういう…?」
「ひとりかくれんぼをやるために必要な道具が全部そろってるんだよ。…でも、本来ひとりかくれんぼの鬼は人形。襲われた人はわかると思うけど、襲ってきたのは人形じゃなかったでしょ?」
「…確かに。血まみれの女でした」
国見ちゃんは冷静に答えた。
「もし、これが仮にひとりかくれんぼだとして…さっきの女が鬼じゃないとしたら――――?」
自分の口から語れる仮説は、ほぼ真実に近かった。
もう、否定することのできないような…。
私の言葉を理解した人は小刻みに震える。
「鬼が、どこかにいるってこと……?」
徹が小さな声で言った。
それでもこの静かな空気では全員の耳にその言葉は聞こえた。
「そう。…だから、もしこれが本当なら…きっと今頃私たちを探して……」
―――その時だった。
ペタッペタッ…
「――っ!?」
冷たい震えが背筋を駆け抜ける。
空気が一瞬にして凍りついていく。
驚いたのか研磨が携帯を床に落とす。
光る画面はこれから始まるけして戻れないゲームの始まりを示していた。
『AM3:00』
――ひとりかくれんぼの開始時刻だ。
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ちごさん - 怖っ……。ほらー苦手だけどどうしても見ちゃうんですよね……。 (2022年6月18日 16時) (レス) @page19 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - 塾の終りに見てたんだけど、まぢで僕泣くよ!?((怖すぎ (2022年3月21日 19時) (レス) @page24 id: 71235383bf (このIDを非表示/違反報告)
つきき - ゴメン…夜に見るもんじゃなかった…やっぱ俺ホラー耐性ないわ…怖い…´・ω・` (2022年1月20日 23時) (レス) @page17 id: 0a88de8dcb (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬ - ちょっとアニメのハイキューみたらみんな生きてて安心した (2021年11月24日 18時) (レス) @page37 id: 91d1fadc82 (このIDを非表示/違反報告)
疑心暗鬼 - いとしの金田一があああああああぁぁぁぁ作者何してくれとんじやああああああぁぁぁぁぁぁ (2017年8月27日 22時) (レス) id: 33cdc0490e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりん | 作成日時:2014年8月8日 21時