ご ページ6
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週明けも私は、今までと変わらず教室に一番乗り。
窓に背を預けながら、微妙な距離感の女の子よりも目立つ長身を頭に思い浮かべているのだから、我ながらゲンキンな奴だなと思う。
数日前までは景色に溶け込んでいた淡い色が、
軽く話すようになった今では視界に入れば反応する程度の存在感にはなって来ていて。
休み時間も、あぁイケメンというのは罪だなぁ。と、他人事なのをいいことに私以外からも数多の視線をぶつけられるクリーム色を眺めたりしていた。
「……!………、……」
「………」
白いドアが開く音よりも先に何だか廊下が騒がしいことに気がついて、昨日の記憶に浸っていた意識が引き戻された。
そのやかましさはこの教室に段々と近づいてきているようで、思わず身構える。
「もー!頼むって!!」
「うるっさい」
とげとげしたやりとりと共に ガラリ!と、いつもより活きのいい音を立てて開いたドアに目をやる。
「えっと…おはよう」
「…おはよ」
「おはよう!!月島の知り合い?」
オレンジ色の頭の男の子にまとわりつかれた月島くんが、随分とやつれた顔をして立っていた。
***
身振り手振りに多すぎる擬音を交えながら、オレンジ頭の日向くんがしてくれた説明をまとめると、こうだ。
「つまり……成績がお粗末なチームメイトは日向くんと影山くんで、月島くんは山口くんとヤチさんって子と、二人を見てあげてるってこと?」
そう括った言葉を月島くんはため息ひとつで肯定し、日向くんは笑った。
「正解!っていうかきみの名前聞いてなかった!」
「あぁ、えっと…AAです」
「おっけー、Aさんね。おれは呼び捨てで大丈夫!」
「あ、じゃあ私も。…というか苗字あんま好きじゃないから名前で呼んでもらえると助かる」
「? そうなんだ、じゃーそうする!」
いわゆる陽キャのテンポで進む会話について行くのに必死で、なんだか要らないことまで言ってしまった気がする。
後悔した頃にはもう遅く、日向は『月島にも女の子の友達いたんだなー!』と話題を大幅に変えていた。
ぶっすり黙り込んでいた月島くんは、またしてもため息ひとつ。人差し指を立てて日向の頭にかざす形で、分かりやすい愛想笑いを浮かべた。
「おチビ。だらだら喋って勉強する時間削る余裕が君にあるの?」
「ハイすんません!即戻りまショウ!」
日向が月島くんの背中を押して教室を去っていく。
月島くんは振り返らなかった。
「なんだったの…」
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かかお(プロフ) - ななさん» なな様、あたたかいお言葉ありがとうございます!よろしくお願いいたします。 (2021年2月6日 9時) (レス) id: ee76e1aae3 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新待ってました!頑張ってください! (2021年2月5日 17時) (レス) id: 4f61ebe657 (このIDを非表示/違反報告)
かかお(プロフ) - りぷさん» りぷ様、お返事遅くなってしまってすみません。あたたかいお言葉ありがとうございます!とっても励みになります。マイペースに更新していくつもりでおりますので、気長に待っていただければと思います。 (2021年2月5日 17時) (レス) id: ee76e1aae3 (このIDを非表示/違反報告)
りぷ - すごく面白くて好きな作品の1つです。更新がんばってください! (2020年8月2日 11時) (レス) id: 587a922c5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かかお | 作成日時:2020年5月26日 4時