10話 ページ10
バレー部の部活が終わるのを待って、私と治は学校から直接神社へ向かった。侑は居ない。“角名と銀と行くとこある”らしいけれど、本当のことかは知らない。
「待たせた」
「平気。……もう結構暗いねえ」
「そうやな。それに……よく晴れたなあ」
上を向けば降るような星空。いつかのような満点の星空が広がっていた。天の川を間に挟んだベガとアルタイルがはっきりわかる。
「この分じゃ織姫と彦星は無事イチャつけてるんやろな」
「言い方……。まあ星が綺麗なのはよかった」
何で一年に一度の逢瀬に他人の願いを叶える発想になるのか。嬉しさのお裾分けのようなものなのだろうか。急に、結局吊るすことのなかった短冊がバッグのなかで存在を主張し始める。
「あ、見えてきた」
「ほんとや、旨そうな匂いしてきた」
「そっちかい」
「Aなんか食いたいもんある? あるなら奢ったる」
「ん〜、わたあめ食べたい」
「ほな待っててな」
あれ、普通に話せてる。
これでいい。これがいい。高望みはもうしない。彼女になりたいだなんてもう思わない。
バッグに仕舞い込んだ短冊を取り出す。……実は、願い事を書いていた短冊を。
ねえ、あなたたち二人の逢瀬は上手くいったんだろうね。
なら、私の願い事を喜びのついでに叶えてくれないかな。
そんなに大それた願いじゃないと思うのだ。ささやかな望みだと思う。だから。
少し離れたところの笹に短冊をくくりつける。
「……これくらい、叶えてくれてもいいと思う、な」
治の呼び声が聞こえてきたので私は元の場所へと駆け出した。
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えま(プロフ) - ふぐひらめさん» こんな昔の作品ですが読んでいただけてとても嬉しいです!応援ありがとうございます! (11月27日 1時) (レス) id: 73c5e48b27 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ(プロフ) - はぁ〜〜〜!!ここ数日作者さんのハイキュー作品を舐めるように見て回っているのいるのですが…正直に言います。供給過多です。宮兄弟大好き。すなりんも好き。作者さん愛してる。そんな全力できゅん殺しにこないで…応援してます! (11月26日 20時) (レス) @page16 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます。幸せを感じられたなら幸いです!! (2021年9月11日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 幸せをありがとう (2021年7月11日 7時) (レス) id: e3f2d4851e (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おっふさん» コメントありがとうございます!! 評価までしてくれて感謝しかありません!! (2020年1月3日 10時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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