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霧の中からいきなり人が現れる感じには全く慣れない。今度は二人だ。真っ赤なジャージと白ジャージ。今さら、全員ジャージだなと影山は思った。




「烏野のセッター? と……」
「青葉城西の主将、ですよね」
「うん。そういう君は……梟谷のセッター?」




この中で、全員と顔見知りなのは俺だけか。

そう気づいた影山はぎこちなくもそれぞれに紹介した。



「及川さん。青葉城西の主将でセッターです。孤爪、さん。音駒高校のセッターです。音駒は、最近烏野と練習試合してるとこです。赤葦さん。梟谷のセッターです」




互いの事は知れたわけだけど、だからどうしたという話だ。




「それにしても変な夢ですね」
「飛雄……俺、これ夢じゃないと思うよ。少なくとも俺のは」
「何でですか?」



苦虫を噛み潰したような顔を影山に向けながら、及川は言う。




「まず、俺は孤爪くんの顔を知らない。普通、顔も知らない人が夢には出ないでしょ。孤爪くんもそうじゃない?」


小さく孤爪が頷いた。バレー誌等を読む方じゃない孤爪は、及川のことを知らなかった。



「それから……俺はここに前も来たことが……」
「っ、及川さんストップ!!」



影山の制止の声に反射的に全員歩みを止めた。影山の向く方に目をやる。及川は目を見開き、孤爪は肩を跳ねさせ、赤葦は小さく息をついた。



「…………ビル、っすかね?」


影山の言うとおり、それはビルに見えた。というかビルなのだろう。普段目にするそれに酷似していた。
普段と違うのは、それが濃灰色の空間に突如生えたように見えることだけだ。




聞き覚えのない不明瞭な声が聞こえたのはそんなときだった。



『やっときたな』






声のする方に反射的に目を向けると、そこには一人の……人がいた。性別はわからない。年もだ。何だあの変なマスク、そう影山は思う。その隣で及川は一人息を飲んだ。


遠目でよくわからないけれど、男かな、と孤爪は検討をつける。おれ位か、おれ以上くらいには身長がありそうだった。体型はマントみたいなものの所為でわからなかったけれど。



「……誰、ですか」
『誰でもいい。それは重要じゃない』


意を決して声を掛けた赤葦にそれはにべもなくそう返した。




『お前らから奪ったものがある。何のことだかわかるはずだ』



影山は瞠目し。
及川は歯を食いしばり。
孤爪と赤葦は顔を見合わせる。



『相棒を取り戻したければ、自分の手で救ってみせろ』

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わか - 神作品だとおもいます! (2月6日 20時) (レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます!! 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました!やっぱり何度見てもホントに感動します!作ってくださりありがとうございます!!もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月10日 21時

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