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decoy ページ39

「日向?!」



駆け出した影山に一拍遅れて三人も続く。日向がいた。倒れている。無事なのか、自分達の相棒は何処にいるのか。そんなことを考えながらも影山を追った。
しかし、日向から数メートル離れたところで急に影山の歩みがのろくなり、完全に止まった。



「影山? どうし……」
「脚が、」
「脚?」
「日向の、脚、が」
「脚がなに…………は?」





影山の立っている所まで行った孤爪が絶句した。その顔の青さに赤葦が声を掛けようとするもその目線の先を見て瞠目する。


「脚が………………無い?」



こちらの反対側に顔を向け横たわっている日向の、膝から先が確かに無かった。



「ひな、た、」


駆け寄り背中に腕を回す影山。日向の顔はやや青いが息はしていて、瞳は閉じられている。その睫毛が震えた。


「翔陽……?」
「ちびちゃん……!」


ゆっくりと日向の目が開かれる。その目が影山を捉えたかと思うと、何か言いたげに微かに口許動いた。



「…………で」
「何だ?」


日向の目が影山の目と合ったまま大きく見開かれ、口から言葉が紡がれた。



「…………お前の所為で」



完全に睨み付けるような視線を寄越す日向に、固まったままの影山。三人はそれを遠巻きに見ていることしか出来なかった。



「影山……お前の所為だ。お前の所為でおれの脚が……お前が余計なことした所為で……!!!」
「日向……」
「お前の所為で俺はバレーが……バレーがもう出来ない。全部影山……それから及川さんも孤爪さんも赤葦さんも……お前らの所為だ!!」


恨めしそうに詰る日向に影山は何も返せずに呆然としていた。その影山に孤爪が鋭く声を掛ける。



「影山離れて。それ……翔陽じゃない」
「……孤爪くん?」
「翔陽はおれのこと、“孤爪さん”なんて呼ばない」


影山から孤爪へ視線を移した日向は笑った。“本物の日向”であれば到底浮かべようもない人を小馬鹿にした笑みだった。



『……先輩なら普通さん付けかと思ったら……コイツ、普通じゃないのか』
「影山、分かったでしょ。翔陽ならあんなこと言わない。早くその偽者から離れて」
『言わない? どうかな? お前らの選択次第じゃあれは“本当”の事になる』



それだけ言って偽者はぐにゃりと歪んだかと思うと影山の腕の中から消えた。


「“本当”の事? あいつ何言って……」
「及川さん……あそこ見てください」



赤葦が指差す先には、先程まではない扉があった。
goalの字の刻まれた扉が。

goal→←mission 3



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わか - 神作品だとおもいます! (2月6日 20時) (レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます!! 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました!やっぱり何度見てもホントに感動します!作ってくださりありがとうございます!!もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月10日 21時

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