mission 3 ページ38
「「「「あ」」」」
横並びに並んだドアから出てきた四人は、同時に同じ声をあげた。
「三人とも無事で……っていうかやっぱりあれ飛雄ちゃんじゃなかったんだ……」
「??」
「取り敢えず合流出来てよかったですね……孤爪顔死んでるけど大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
改めて四人は、他の三人の姿を見た。及川と赤葦は若干息があがりうっすらと汗をかいている。孤爪は顔色が悪い……というより機嫌が悪そう。影山は眉間に皺を寄せていた。
「え〜……何があったの?」
そう言ってから及川は自分が地雷を踏みに行ったことがわかった。こんなの他の人のを聞いたら自分のも言わなきゃいけないのに。
でももう手遅れだった。言うしかない状況を作ってしまった四人はそれぞれのミッションの内容を話した。
あの後及川は影山にサーブを教えた後、3対3で影にストレート勝ちした。バレー経験者三人のこっちとあのよくわからない影ならこっちの方が圧倒的に有利だ。及川がセッターならなおさら。
孤爪は。
『あの……出口、どこ、ですか』
ひたすら人に聞いて出口を探し当てた。不思議とその後道が変わるようなことはなく、道案内の通りに進むとドアにたどり着けたのだ。
(それまでに何人に話し掛けたっけ……思い出したくもない。でもあれ……聞かなきゃ出れなかったんだろうな)
端的に迷路、とだけ言って孤爪は口を閉ざしたがそれ以外にも何かあったんだろうと及川と赤葦は察した。
赤葦は。
『……すみません。俺一人じゃ無理です。せめてあと一人……』
ああ言ったあと、影が一気に消えた。鍵だけ残して。呆気に取られるのと共に、どこか納得したところもあった。
あのミッションは最初から、“鍵を奪えるか”ではなくて“無理なことを無理と言えるか”だったんだろう。
「で、飛雄ちゃんは?」
「……っす」
無言で突き出されたくしゃくしゃの紙を及川が受け取る。
「……テスト? 国語の?」
「ウス。合格点取るまでずっとやってました」
そう言いながらおもむろに三人に向けて腕を見せた。その腕には赤いペンで無数のバツが付けられている。
「何か……今回は皆違うミッションだったんですね」
「それに今回はなんだか……今の、何の音?」
ドサッと、質量のあるものが落ちたような音を四人の耳が拾う。音のした方向を見るや否や、影山が駆け出した。
「日向?!」
十数メートル先。
鮮やかなオレンジの髪を持つ何者かがそこには倒れていた。
decoy→←mission 3【side Akaashi】
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わか - 神作品だとおもいます! (2月6日 20時) (レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます!! 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました!やっぱり何度見てもホントに感動します!作ってくださりありがとうございます!!もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
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