mission 2 ページ27
問いが埋まっていく。
元々頭の回転が速い者の集まりなので、後半ほど上手く答えが導き出せていった。
「にしても……孤爪くんとこの掛け声独特じゃない？ “俺たちは血液だ”……」
「クロが考えたやつだし……おれ知らない」
及川の問いの一つは音駒の円陣の掛け声のキーワード、だった。blood、で字数も満たし中央のドアの床が抜けた。これで残りは一番右、中央の右隣、中央の左隣である。
残りの質問は赤葦のもの、それから及川の物である。まだ答えられていない質問は烏野、それから梟谷。
他の質問の答えはもう答えられていて、その度にどこかしらの床が抜けていた。ドアの真ん前が抜けるとは限らないようだった。ドアの間の床が抜けたこともあったからだ。
「じゃあ次は……及川さんか、赤葦さんのですね」
「……赤葦くん、先にやってくれない？」
「？ はい」
赤葦は改めて自身の問いを見て、そして言葉を紡いだ。
「……兄弟、っていますか」
「俺は上に一人。岩ちゃんは居ないはず」
「クロもおれも居ない」
視線は自然と影山に集まった。
「俺は居ないっす。日向は妹が居ました。名前は……」
名前。名前は何だった。普段そんな話はあまりしないから覚えていない。
けれど赤葦さんが俺の答えるのを待ってる以上、きっと聞かれているのは日向の妹の名前なんだろう。必死に記憶を掘り返す。
『……つ、泣かないもん！！ 兄ちゃんは絶対起きるから、泣かないもん！！ 夏泣かない……』
病室で泣きじゃくりながら泣かないと繰り返していた、小さい女の子の姿を思い出した。あれは日向の妹だ。なら、名前はわかった。
「……夏、です」
「ナツ？ 綴りは6文字分ってことは……“summer”？」
「たぶんそうです」
泣いている姿を思い出した所為で、他にも色々と思い出した。真っ青な日向のお母さんの顔とか、心配して今まで話し掛けたこともなかった俺に声を掛けてきた日向のクラスメイトとか。
あいつを待ってるのは、何も烏野バレー部だけじゃないのだ。
「……っ、当たった」
「抜けたのは……右端？」
これで残りのドアは二つとなった。中央のドアの挟む二つのドアだ。問いは残り一つ。これを当てられたなら、ひとつに絞り込める可能性が出てくる。
「……及川さん？」
しかし、その残りひとつの問いを持つ及川の顔は険しかった。
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わか - 神作品だとおもいます！ (2月6日 20時) (
レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます！！ 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました！やっぱり何度見てもホントに感動します！作ってくださりありがとうございます！！もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
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