mission 2 ページ21
孤爪が首を擦りながら無感動に言ってのけた言葉に及川は目を見開いた。
「……え、でもそれじゃあ……答えられないよね?」
「“普通に”この問いを口に出すのは無理だよね」
「……判断基準が曖昧ってことか」
「そう。遠回しに話す分には許されるかもね」
三人が話している間影山は問いを見つめていた。そして首を傾げる。
「……あの、俺のやつ一問自分の学校の質問なんすけど」
「!! ラッキーじゃん!!」
「答えはわかった?」
「はい多分……いやでも字数が微妙? これ漢字じゃなくて平仮名っすか?」
そういえばどうなのだろうか。それに、まだわからないことも多い。
例えば、“正解のドアを当てる方法”、とか。
「……いや、多分だけどアルファベットじゃないかな。俺の問いの答えに数字あるから、漢字とか平仮名じゃ合わない」
「英語……わかりました」
どうやって正解のドアがわかるんだろ、孤爪は再度考える。
ポイント制? 中央のドアの上に取り付けられた緑と赤のランプは恐らく正誤を教えるためのものだろうけど。
「4文字、うちの高校、ってことは……」
「烏野で4文字ってことはそこじゃない? ドアに近い方のオレンジ……あ」
赤葦が説明をするまでもなく、どの床が影山の言っている問題に相当するのかはわかることとなった。
「光った、ね。床が」
「ここってことですかね……どうやって答えるんですかね」
その声に応えるように、天井から影山の肩辺りに落ちてきたものを影山は受け止めた。
「ボールペン……あ、書くところできてる」
影山が立ったままで問いの書かれた紙に答えを書いているのを、孤爪は自分の問いを見ながら目の端に留めていた。
書き終わったらどうなるんだろ。正解のドアは、どうやって正解だってわかるんだろ。そんなことを考えていると赤と緑のランプがそれぞれ点滅を始めた。どうやら紙に書いた時点で正誤の判断が始まるらしい。
(まずはこの問題の解き方考えなきゃ……他校のことお互いに知り合うには……)
ねえ、この次どうする。そう声を掛けようとしたが孤爪は思わず動きを止めた。その視線はランプの方へ向いていた。赤く光るランプへ。
一般に緑は正解、……赤は不正解だ。
不意にガコン、と重い音が響く。そして。
「飛雄!!」
及川の怒鳴り声に孤爪は視界左方向へ目を向けた。
見えたのはぽっかり床に空いた穴。
……それから、その穴へ落ちる寸前の影山だった。
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わか - 神作品だとおもいます! (2月6日 20時) (レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます!! 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました!やっぱり何度見てもホントに感動します!作ってくださりありがとうございます!!もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
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