mission 1 ページ17
単調な作業だった。
武器置き場から銃弾と銃を拝借し、部屋を一つ一つ潰していく。三人ともそれほどの精度は無いものの、やっていくうちに慣れていった。
影山は一人ボールで電気を消していったが。
「……影山はこれ使わなくても大丈夫?」
「あ、ウス。こっちの方が慣れてるんで」
と、赤葦の息を飲んだ音を聞き留めて三人は黙った。同じく口を閉じた赤葦が部屋の中を無言で指差す。
中には影がいた。こちらに気付かずイスに座りぼんやりしている。
「俺が……」
「待って。動かれて弾が当たったら危ない」
「なら俺がやります。灯りは……一つですね」
部屋の入り口まで進んだ影山が打ったボールは鈍い音と硬質な音を立てた。その中に微かに悲鳴のようなものを聞いて四人は目を見合わせる。
「今のって……」
「影の、悲鳴かな。飛雄、ボールは置いていこう。中には入らない方がいい」
消えたのか、なんなのか。それもよくわからないのだ。完全な闇になった部屋の中に取り残された影がどうなったかは誰にもわからない。
それからも部屋に影が居るときには銃を使わずに、石やらなんやらを使って灯りを消していった。そう、武器置き場にはそんなものもあったのだ。
「かなり……暗くなってきたね。というか、俺と飛雄ちゃんの行った辺りが見えてきた」
廊下が灯りで照らされていない範囲。そこから向こうはまだ行っていない。
「向こうに行くとセンサーで電気が付くからギリギリのところで廊下の電気を消そうか」
「何か思った以上に廊下長いですね」
「うん。ずっと続くような感じしたよね、飛雄」
「ウス」
案外ずっと続くんじゃ。そんな言葉を孤爪は飲み込んだ。何が起こっても可笑しくない空間だというのは今までの出来事ではっきり思い知らされた。
「あ」
「孤爪くん? ……いたの?」
四体目の影。最後の影だ。
「俺やります」
こんなときでも平常心……少なくともそう見える影山は凄いなと赤葦は場違いの事を考える。
放られた石は正確に電球に当たり、ガラスの砕ける音と微かな悲鳴、そして暗闇。
これで全部、全ての影を消した。
しかし、何も起きない。
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わか - 神作品だとおもいます! (2月6日 20時) (レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます!! 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました!やっぱり何度見てもホントに感動します!作ってくださりありがとうございます!!もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
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