mission 1 ページ16
上の階に行くには、影を消さなければならない。
しかし、その影の消し方がわからない。
「バレーボール、だったからっすかね？」
「もしそうだとしても試す気にはなれないよね」
「致命傷にならない程度に傷を負わせる、とか？」
「そんな手加減俺たちにできるかどうか……」
手元にある武器を改めて見る。ちゃんと扱える気はしないし、一か八かのために自分の体に危害を加える手段は取りたくなかった。
影山がボールをバウンドする音が廊下に響く。ふとその音が止んだ。と、おもむろに及川の方に歩みを進める。
「なに飛雄。何かわかったことでもあった？」
「いや……及川さんの影なら消せますよね、こうやれば」
「そうだね。それくらい単純にいけばいいんだけど」
光源の方に影山が立ったことで及川の影は隠される形になる。及川は自分の影から意思を持った独立した何かが現れた瞬間を思い出して身震いした。
「……待ってください。それじゃないですか？」
「何が？」
「影を消す方法です。当たり前の事ですけど、完全な暗闇のなかに影は存在できませんよね」
単純なことだ。本当に、単純な。
「え、じゃあこの武器は……」
「おれたちを惑わすためのってことじゃない？ あわよくば、影に攻撃してダメージ食らえば、みたいな」
そもそもあの武器を使えとは放送は一言も言ってないのだ。ただ、これ見よがしに並べていただけで。
「え、でもあいつら動き速かったっすよね。どうやって消しますか」
「暗い部屋に追い込むとか？」
「……光源を潰してこう」
ついと孤爪の拳銃を握った腕が天井の方に上がる。そして、引き金を引いた。ガラスの割れる音と共に廊下が少し陰る。
「点いてる灯り、全部潰せば暗いところが増えてくから。完全な闇にすれば影は存在しようがないし、そうじゃなくても存在できる場所が限られてく」
ただ、と付け加えた。
「暗くなってくことで影が居るか居ないかの判別は難しくなるから……端から順番に消していった方がいい」
「それなら急ごうか。影が妨害してこないと限らないしね」
「灯りを消せばいいんすよね」
影山は手元のボールを見る。それなら、これでもできる。
四人は廊下の始まりの方に戻りながら単純な確認をしていった。部屋の灯りは部屋の外から消す。廊下の灯りは過ぎたところから。暗闇のなかに自分達が残らないように。
そして、入り口まで引き返した。
「……よし行こうか。」
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わか - 神作品だとおもいます！ (2月6日 20時) (
レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます！！ 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました！やっぱり何度見てもホントに感動します！作ってくださりありがとうございます！！もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
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