mission 1 ページ12
孤爪の提案通り二手に別れることになった。別れ方はごく当たり前のように影山・及川と孤爪・赤葦に。ついさっきまで関わりの無かった人と組むというのも不自然だからこれは必然だろう。
「何か見つけたらすぐに教えるんだよ飛雄。勝手に駆け出さないで」
「……ウッス」
改めて及川は自分の手に握られたサバイバルナイフを見つめた。これを扱えるかどうかは自分でもよくわかっていなかった。ただ、攻撃の対象が顔もよくわからないただの影というのが不幸中の幸いだろう。
及川たちは廊下の先へと進み、孤爪たちの方はもと来た道を戻りながら部屋の確認を。先へ進む度に照されていく廊下をひたすら進む。
「……暗いと影がいるかどうかわからないっすね」
「そうだね。突然出てこられたら反応できないかも」
周りを警戒しつつ先へと足を進めていく。幸いなことに、影とエンカウントしたあの場所から先は通路の横に部屋もなく、ただただ廊下が伸びていた。
「……外観だとこんなに長い廊下がこのビルに収まるはずはないんだけど。やっぱ何でもありみたいだね、ここ」
リノリウムの廊下が伸びていく。
どれ程歩いただろうか。これだと孤爪くんたちと離れすぎかもしれない。
そう影山に声を掛けようとして、その張り詰めた表情を見て言葉を飲んだ。どうしたの、と口の形だけで問うと、もと来た道の方を指で示される。
「……っ」
居た。
それが居た。
ぽつんと廊下に突っ立って、それはそこに存在していた。
おもむろに影山がボールを持ち直したのを見て及川は目を剥いた。
「ちょっ、本当にするつもり?!」
「ウス。この距離なら当たる可能性も高いんで」
確かにそれほど距離は離れてなかった。だからこそ、降って沸いたように現れたそれの不気味さが際立つのだが。
狙いを定め始めた影山の持つボールに、及川は手を掛けた。
「及川さん?」
「俺がやる。飛雄ちゃんに任せるより、俺の方が確実だよね?」
「うぐっ……」
サーブの決定率は及川に軍配が上がる。それに及川は、狙いが得たいの知れない何かであっても当てられる自信があった。
幸運なことにあの影は突っ立ったまま動いていない。いつも通りのサーブトスを上げ、及川は思いっきりボールを打った。あ、当たる。影山はそう思った。
「い゙っ?!!」
しかし影山が見たのは、背中あたりを押さえて呻く及川の姿だった。
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わか - 神作品だとおもいます! (2月6日 20時) (レス) @page50 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - ぽすとがかりさん» 2年ぶりにこの作品をまた思い出してくださって大感謝です、ありがとうございます!! 長く覚えて頂けているというのがとても嬉しいです。 (2022年1月17日 19時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすとがかり - 2年くらい前に出会ったこの作品をもう一度見たくてめっっちゃ探しました!やっぱり何度見てもホントに感動します!作ってくださりありがとうございます!!もう神様 (2022年1月17日 15時) (レス) id: f31b841de2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - zeroさん» 大分昔の作品なのに読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
zero(プロフ) - もうこれ神作品以上 (2021年9月3日 15時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
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