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その後の話はあまり聞いてなかった。頭の中は“可哀想”の文字がめぐる。私は、可哀想なのか。可哀想に、見えてたのか。



北くんは、私が可哀想だから構ってくれていたのか。





冗談じゃない、と思った。
哀れみを掛けられる義理はない。そんなつもりなら話し掛けてこなくていい。そんなのはいらない。

なら私は、どんなつもりで話し掛けてきてほしいのか。



夕闇が深くなったで教室に戻る。もう三人の姿はない。結構な時間ぼんやりしていたらしい。


廊下に出しっぱなしだったリュックを背負って、その重さにため息を吐く。こんなに重かっただろうか。まあ重さを嘆いたところで軽くなるわけもないので、黙って階段を降りていく。




「てか、自分達が私を“可哀想”な境遇にしてるって自覚はあるのかな」




答えはきっと、“自覚はない”だろう。
彼女らからしたら、不穏な噂のある転校生を出来る限り避けているだけだろうから。誰だって我が身が可愛い。それを許してあげる気にはもちろんならないけれど、理解は出来る。



その結果、私が“可哀想”になってしまっただけのこと。それはもう、仕方ない。でも。






「あ、神崎さん。今帰りなん?」





哀れまれるのは嫌だ。







「北くん」
「こんな時間に居るの珍しい。何かあったん?」




何かはあったけどね。そんな言葉は胸に仕舞い込む。それにしても、何で北くんは私に話し掛けてくるのか。
彼女らの言うとおり、北くんが優しくて、私が可哀想だからなのか。
もしそうなら。







「あのさ、私が可哀想だから構ってるとかなら、要らないから。そういうの、要らない」






クラスで孤立したとしても、そういうのは要らない。

同情やら哀れみやらは欲しくない。





じゃあ私は何が欲しいのか。頭の片隅でそんな疑問が首をもたげたが、北くんが口を開きかけたのを見て引っ込んだ。




何て言うのかな。そんなんじゃないって? もしくは、ならもう話し掛けないわ、とか?

自分で自分の首を締めるような真似をしているのはわかってる。それでも哀れみは要らないから。

だから、北くんが何言っても揺るがない。









「……ようわからんけど、俺神崎さんのために何かしたことあったん?」







……揺るがないと言った手前恥ずかしいことだけれど、私の内心は揺るぐどころか軽くずっこけた。

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えま(プロフ) - Roaさん» コメントありがとうございます!! 北さんの魅力を表現出来ていたなら何よりです!! 宮兄弟も書いていて楽しかったので、そう言って頂けるとありがたい限りです!! (2020年6月19日 8時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
Roa(プロフ) - 読んでる途中心臓が痛かった…っ、でも北さんの真っ直ぐなところがもう心にぐっときていつも間にか目の前歪んで(;_;)宮兄弟の「やぁぁっとくっついたん!?!?」が個人的にめちゃくちゃ好きでした笑北さんの勘違いしていた触れなば落ちんの意味も素敵で感動 (2020年6月19日 5時) (レス) id: edef434db0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 宙さん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます!! 切なさ甘酸っぱさを味わって頂けたなら嬉しいです!! (2020年5月31日 16時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 胸がギュッてなった!なんて素敵な終わり方!!!こんな作品を作っくれてありがとうございます! (2020年5月31日 14時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
菜乃花 - いやいや!!お気になさらず(^^)中学のときは皆まだ幼いので仕方ないと思ってます笑その分も今全力で楽しめてます!これからも頑張ってください!一緒にハイキュー!!も応援し続けましょう〜! (2018年12月1日 10時) (レス) id: 77a025593a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年5月27日 20時

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