【ハイキュー!!】触れなば落ちん【北信介】

13 ページ13

「お祖母ちゃん。お祖母ちゃんの弁当、美味しそうだって誉められた」
「あらぁ嬉しい。クラスのお友達？」
「……うん。うん？」



弁当を洗いながら、投げ掛けられた質問のために頭を回転させる。

友達？ 友達なのだろうか。ただのクラスメイト、というのが一番正確な気がする。でもお祖母ちゃんのためには友達と言った方がいいだろう。北くんごめん、取り敢えず今だけ一瞬友達の枠に入れてくれ。


「友達にだよ」
「そうなのねぇ、Aちゃん学校の話ほとんどしないから聞けて嬉しい」


チクチクと良心が痛む。でも、話すことというのがほとんどないのだ。今度から北くんの話とか双子の話くらいならしようか。まあ家の中でなら、友達だって嘘ついてもばれないだろう。

いやでもばれたらあれだし、よく話す人ってことにしよう。これなら嘘はついてない。




「ひとつ下の双子の子とも割と話す」
「そうなの？ Aちゃんが楽しいならばあちゃんも嬉しいわぁ」
「……うん。最近楽しいよ」




認めてしまった。
楽しい。ちゃんと、私を私として扱ってくれる人がいることは嬉しい。

私の噂を気にしないで接してくれるのは、嬉しい。



……北くんがどうなのかは、未だにわからないけれど。



「ふふふ、でもばあちゃん心配しとらんかったけどね！」
「え？」
「Aちゃん、ええ子やもん。新しい学校でも、友達できるってばあちゃん信じとったよ」
「う、ん」





ごめんねお祖母ちゃん。ごめん。
いい子じゃないよ。噂は理不尽だけど、私に全く悪いところがないわけじゃ、なかったよ。

それでも下手にでる気にはなれないの。勝手に勘違いしてろって、思ってしまうから。

だから。



「友達、いるよ。学校楽しいし」





嘘もつくね。ごめん、お祖母ちゃん。

14→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す