epilogue ページ33
あの日、全部終わらせるつもりだった。いや、終わった上でまた何か始まったのかもしれない。まあとにかく、何かが続いてるのは確かだった。
「Aちゃん、」
「宮くん。……呼ばないよ名前では」
私達は今付き合っていない。無理強いしないと言ったとおり、宮くんは強制してこなかった。けれど周りには付き合っていると思われている。交際の噂が広がっている。前と真逆なのがおかしい。
「絶対な。Aちゃんは俺のこと好きやと思うねん」
とは彼の言である。ここまで自信満々に言われるのも何だかおかしな気分だ。私が分からないのに宮くんには分かるのだろうか？ まあでも、自分が一番自分のことを知っている、なんてのはそれこそ買い被りすぎなのかもしれない。事実は私は知らないことだらけだ。未だに振り子の針は鈍く揺れている。
「今週末遊びに行けるんやけど。Aちゃんは？」
「行きたい」
「っ、即答……なあもう、俺のこと好きやって認めてくれても」
「分からない。何となくで決めていいの？告白された時みたいに」
「ぐっ、何となくが嫌やって言うたのは確かに俺やけど……」
言わなきゃよかった、と舌打ちしかねない顔をして宮くんは恐らく過去の自分へ恨み言を述べていた。暫くすると私の顔を覗き込んでいる。
「……なに？」
「早く俺の彼女になってくれへんかなって」
「…………」
「あ゛っプレッシャー掛けるのも無しやった」
しまった、とでも言うように私の顔から覗き込んでいた顔を離した。良かった。宮くんのような人が間近にいては落ち着かない。
「なれたらいいな」
「何て言ったん？」
「ううん。……私も色々頑張る」
気持ちの整理が着いたなら。ごちゃついたこの感情の収めどころが分かるかもしれない。何であんなに寂しくて泣きたくなって、それでも楽しかったのか。その辺りをよく考えたのなら、きっと振り子の針も定まるのだろう。それにしたって未だにこれが嘘か本当か曖昧なのだ。嘘じゃないと言った宮くんの言葉を信じるしかないのだけれど。
「極稀に、その辺に転がってることもあるのかな。シンデレラ・ストーリー 」
私なんかには絶対訪れるはずのなかったそれは、今や自分次第ですぐに手に入れることの出来る場所にある。
「ね、デート楽しみだね」
「おん。……今デートって、」
宮くんの焦る声に笑みが漏れた。考える時間は沢山くれたのだ。もう嘘なんか交えずにいこう。嘘なんて懲り懲りだ。
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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です！！ ありがとうございます！！ (2020年10月3日 15時) (
レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません！めっちゃ好きです！！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか？さん» ありがとうございます！！ 作品を楽しんで頂けたようで幸いです！！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです！最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて！！ 身に余る言葉です、ありがとうございます！！ (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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