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家に帰ってスマホを開くと、宮くんからのメッセージが2件。どうやった？？ という文言、それからスタンプ。楽しかった、ありがとうと返す。文字は声より嘘がつきやすくて助かる。全てが嘘ではないけれど。
「……潮時ってやつかなあ」
そろそろいいんじゃないか。それは前から薄々気付いていたことだ。もう充分じゃないか。もう、必要な時間は経っているんじゃないか。むしろ……これ以上の時間を掛けるのは“私にとって”良くない。そう、考えていた。それでも先延ばしにしたいとどこかで私は思っていた。
どんな反応するかな、と他人事のように考える。私が真実を明かした後でも、宮くんはあの非の打ち所のない彼氏の顔で笑ってみせるのだろうか？ まあきっとそれは無いだろう。動揺して……それから？ どんな顔をするだろうか。
そして、私は何を思うのだろう。ざまあみろという気持ちはとうにどこかへ行っていた。そろそろ頃合だ、そろそろ終わりの時間だ、……やっと終わる。そう、“やっと”だ。先延ばしにしたい気持ちと並行して、早く終われという気持ちが確かにあった。
「……疲れたなあ」
疲れた。
本当とも嘘ともつかないことを言って、いい子ぶってみたり自分を出してみたり、バレないように友達にも隠して、なのに宮くんがあっさり兄弟にバラしていることに困惑して。何気ない言葉に照れたり照れるフリをしたり、もうどちらが本当か分からない。デートの為の服を選んでいた時のあの気持ちは私のもの？ それとも本当めかしたただの嘘？
もう疲れた。本当に疲れた。
些細な会話に胸が弾む度に、全部嘘なんだよと私が釘を刺すものだから。もう私の胸はボロボロだ。刺し傷ばかりだ。チクチクと痛むのを無視して笑っていたらそのうち痛いのか痛くないのか分からなくなってきた。もうそれでいい。どうでもいい。
私のことは知らない。私のことなのに。
でも宮くんのことは知っている。宮くんは全部嘘だ。それだけが大事だ。他はどうでもいい。
鏡の前で笑顔を作る。酷い顔だった。引き攣った口が浮かべたのは笑みというには程遠いナニかだ。まあそれでも大丈夫だろう。嘘に酔っている時の私は本当の笑みを浮かべている。言ってることが無茶苦茶だけど、そう。
嘘に踊らされてるのは宮くんのはずだった。騙した側と思いきや騙されている、それは宮くんのはずだった。今だってそのはずだ。
騙している側の私が、勝手に嘘に振り回されているだけだ。
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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です！！ ありがとうございます！！ (2020年10月3日 15時) (
レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません！めっちゃ好きです！！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか？さん» ありがとうございます！！ 作品を楽しんで頂けたようで幸いです！！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです！最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて！！ 身に余る言葉です、ありがとうございます！！ (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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