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ああ緊張する。さっきからずっと緊張している。嘘っこのデートで緊張なんてしなくてもいいと、いくら自分に言い聞かせても緊張している事実は変わらないのだ。呼吸はなんだか浅くなるし、心音が速い。
ワンピースなんて気合い入れ過ぎかな。でも持っている服で一番私に似合うのがこれだったから。そこまで考えてまた気付く。私は完全に“初デートに向けてオシャレをする彼女”的行動をしている。
「私は……また何を懲りずに……」
「エッAちゃんはっや！！ 15分前やで？！」
愕然としたような声に振り返ると、居た。宮くんだ。まあ当たり前だけれど私服だ。予期していたはずなのに何らかのダメージを食らったような気がする。
「……眩しいね」
「ここ日陰やけど？？」
言葉の真意に気付かない宮くんは不思議そうに首を捻っている。眩しいのは宮くんです、私服姿に目が眩んだのだ。顔のいい人はだから怖い。
「具あ」
「具合悪くないよ元気だよ」
「……食い気味やん」
「聞かれそうだなって思ったから」
納得いかなそうだけれど元気なものは元気なのだ。暫く体調不良の片鱗でも無いかと私の顔を睨みつけていた宮くんは、やっと納得がいったらしい。彼氏の顔で笑うと、何の躊躇いもなく私の手を取り歩き出す。さすが、慣れていらっしゃる。
「どうする？」
「何も考えてないよ！」
「清々しいほどのノープランやな。買い物とかせえへんの？」
「今は特に無いかな〜、だから侑くんに任せるよ」
宮くんの片眉が上がった。そうでしょうそうでしょう、さり気なく名前で呼べたでしょう。さっき本当に何気なくAちゃんって呼んできたのの軽い仕返しだ。手慣れてるようだけれどこちらは初めてなのだ。宮くんがにいっと笑った。
「……名前で呼ぶの、頑張ってくれとるんやな〜」
「？！ ……ええ、こちとら初めてなもので緊張するのです」
「……そこは頑張ってない！とかって否定するとこやないんかい」
「頑張ったのが事実だし。何だか侑くんがまた照れてくれたようでちょっと勝てた気分」
「うっさいわ」
ヤケクソのように繋いだ手を振り回され大股で歩かれる。慌てて小走りで付いていくと今度はピタリと止まった。
「な、何？」
「どこ行く！！」
「だからノープランなんだって」
「なら無難にタピオカでも行こか？」
振り返って笑う宮くんが楽しそうに見えて寂しい。
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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です！！ ありがとうございます！！ (2020年10月3日 15時) (
レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません！めっちゃ好きです！！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか？さん» ありがとうございます！！ 作品を楽しんで頂けたようで幸いです！！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです！最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて！！ 身に余る言葉です、ありがとうございます！！ (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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