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案の定、その人は弁当の包みを開きかけていた手の動きを止めて眉をひそめてこっちを見てきた。それに構わず俺はAちゃんの隣に移動する。視線は俺の方に向かないのが常やったから、怪訝そうな目でもここまでずっと俺の方に向いたことなかったなあとどうでもいいことが頭にぽかりと浮かんだ。
「……どうしたの急に。それより、ほんとに何もなかったの？」
「や、ほんと大したことやないんで」
というより、この惚れた腫れたのどろどろした話を、そんなのとは無関係な所で生きとります、みたいな顔しとるAちゃんに話すのは気が引けた。こんなん知らんでいいと思うし、知らんままでいて欲しい。
「それより！ Aちゃんの好きなタイプってどんなん？ もしかして、そういうの考えたこととか無かったりするん？」
その可能性も普通にありそうやなぁと思う。恋とか無縁そうやなあ、でも好意は当たり前に向けられてそうやけど。告白されたことない言ってたけど謙遜か、もしくは近寄りがたくて遠目に見られていたか。うん、後者やなきっと。
遠目で見ることしかできへんひと。
声掛けるのも緊張するような、そんな空気感のひと。
Aちゃんは、そんな感じがする。よく話すようになった俺さえも声を掛けるのを躊躇うような、そんな空気をたまに纏う。ひりりとした鋭ささえ混じるような、不純物なんて一切許さない透明に澄みきった空気。
「……考えたことくらいは、ある」
やから、その答えは少し予想外で、それから何となく安心もした。
「あるん？！ Aちゃんもそういうの考えることあるんやな〜！」
「まあ、少しはね」
「聞いてもええ？ てか、聞きたい！！」
どんな人好きになるんやろ。てか、好きな人できたことあるんかな。
「……大人っぽい感じで、落ち着いた人かな。頼りになる、尊敬できる人」
「あー、何かわかる、Aちゃんそういう人好きそうやな」
「なにそれ」
そういう人好きそうというより、そういう人と付き合っとるのが似合いそう。なんやろ、変なゴタゴタなんぞ起きない聖人みたいなカップル。
「……まあ、そういう人同士の綺麗な関係が課題曲に合いそうだなって」
「結局また歌の話に辿り着くんやな」
「ほんとだ、歌の話になってるね」
“無償の愛、敬虔な愛の歌なの”
そう呟いてAちゃんは小さくメロディーを口ずさむ。
なんや、Aちゃんにぴったりの曲やん。
やからこんなに綺麗なんやな。
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えま(プロフ) - 春塩さん» コメントありがとうございます！！ 尊敬するだなんて嬉しいです照れます……ひたすら楽しく執筆したものですが、春塩さんにも楽しんで頂けたのなら幸いです(*´∇｀*) (2018年11月13日 21時) (
レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 杏采さん» コメントありがとうございます！！ 一気読みなんて大変でしたよね……！！ 嬉しいです(*´ω｀*) これからも頑張ろうと思います！！ (2018年11月13日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
春塩(プロフ) - 完結おめでとうございます。尊敬するお二方の合作、本当に素敵でした。侑くんと夢主のやりとりがとても可愛くて切なくて、最後までずっと引き込まれていました。素敵な作品ありがとうござました。執筆活動応援しております！ (2018年11月13日 17時) (レス) id: 7ae3000a58 (このIDを非表示/違反報告)
杏采(プロフ) - 完結おめでとうございます。憧れのお二方の合作と聞いて即座に反応して一気読みしてしまいました。ありふりた言葉しか出てこないのですが、本当に素敵な小説をありがとうございます。これからも頑張ってください！ (2018年11月13日 17時) (レス) id: d19c07683e (このIDを非表示/違反報告)
ウ タ(プロフ) - kyo10aaa1877hanさん» 更新遅くなってしまって申し訳ないです、お待たせしました！(*¨*) (2018年9月12日 11時) (レス) id: 12a750fc54 (このIDを非表示/違反報告)
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