◆9◆ ページ10
あの人と話してから数日が過ぎた。その数日で、わかったことがいくつかある。
まず最初に、俺は話すのがあんまり得意じゃねえがそれは向こうも同じらしかった。あんまり話のテンポが速いとついてけねえから助かった。
口数は少ないけれど、適当に話してるわけでもないこともわかった。俺の質問に、あの人は少し考えてから丁寧に答える。だから俺も真面目に考えて真面目に返事していたつもりだ。なのに彼女はたまに笑い声を漏らした。
「轟くん、天然だね」
……人工のやつもいるのか？
そう聞くとまた笑われた。あの人の笑い方は風がそよぐ音みたいで、聞いてて気分がよかった。
「あー……どうしよう」
「何がだ？」
「あなたが嫌な人だったらよかったのに」
意図を読めなくて顔をしかめた俺に、呟くようにその人は言った。
「嫌な人で、話すのは嫌だって突っぱねられたらよかったのにな。轟くんね、私、あなたと話すのが楽しいよ」
気分が高揚した。もしかしたら、それは顔に出ていたかもしれない。けれどきっと向こうにはバレてない。俯いたまま話してるその人に、俺の顔は見られていない。
「楽しいよ。私は人と話すのにあまり慣れてなくて、だから最初も失礼だったと思う。ごめん。轟くんが私と話せて楽しいかもわかんないし」
「俺は……楽しい。だからそれは気にしなくていいだろ……と思う」
「ありがとう」
礼の言葉のはずのそれは酷く寂しげに聞こえた。何でだ。
話すのが楽しいと言われて、ありがとうと言われた。なのになんで、この人は俺がやな奴だったらなんて言うんだ。
「ごめんね。あなたと話すのは確かに楽しいよ。だからもう話したくない」
「？！ ……なんでだ」
「……あなたが私の顔を見たから」
“私の顔なんて知らないで、仲良くなれたらよかったのにね。そんな前提、成り立たないけれど”
俺が彼女に一目惚れしなければ、こうして探そうとすることはなかったから。確かに彼女の前提は成り立たない。
「あのね、轟くん。あなたが思ってるよりも私はこの個性が嫌い。大っ嫌い。皆が見た美しい私も大嫌い。こんなもの無ければって何回思ったんだろう」
「あなたがもう二度と、私の顔を見たいだなんて考えることが無いとしたら、私は轟くんと普通に仲良くできる。友達になれる。でも……違うでしょう？ 見たいと思うでしょう？」
それは、事実だった。
俺はまた、彼女の笑った顔が見たかった。
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えま(プロフ) - えるさん» 読んでくださってありがとうございます！！ 轟くんをカッコよく書けていたなら嬉しいです！！ 加賀美ちゃんの父親についてはご想像にお任せしときますね(*´ω｀*) 続編は、何か思い付いたら書くかもしれません！ 何はともあれありがとうございました！ (2018年11月1日 23時) (
レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
える - 加賀美ちゃんの青い目って、、もしかしてお母さんと相思相愛になったのは八木さんだったり！？父親はもしかしてっ！？なんて凄い妄想してしまうほど久しぶりにとても楽しいヒロアカ(焦凍くん)小説が読めました！ありがとうございます！ (2018年11月1日 20時) (レス) id: 1eed16b69d (このIDを非表示/違反報告)
える - 轟焦凍君がいつも以上にかっこよく素敵にみえました＾ｖ＾！ (2018年11月1日 20時) (レス) id: 1eed16b69d (このIDを非表示/違反報告)
える - すっごくとっても楽しかったです！ぜひ続編を書いてほしいです＾＾！希望！ (2018年11月1日 19時) (レス) id: 1eed16b69d (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - か○ぴすさん» わーいかるちゃんありがとう！！ 書きたいように書けて楽しかったです() 弔くんのも読んでくれてありがとーう！！ (2018年8月24日 19時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
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