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母は美しい人だった。当たり前だ。私の見ていた母は、私の望む母の顔、つまりは個性の顔だった。大きなたれ目がちの瞳、ふっくらした頬、ふんわりとした唇。思えば私は母らしさを無意識のうちに求めていたのだろう。顔のパーツは、それを演出できるような柔らかなものばかりだった。
ただ、母はそんな顔を持ちながら笑みを浮かべることもしていなかったけれど。
優しげで、どちらかと言われれば可愛いの類に入るような顔立ちだったのに、どこまでも冴え冴えと美しかった。私に向ける優しさも愛情もないと言わんばかりの独り善がりさ、それでも美しい。
話した回数は数えるほど。覚えている限りの最初の言葉は確か、
「あぁ……あんたもあたしと同じ個性ね」
そんな言葉。個性の発動を確認した、それだけ。それでも不思議と寂しいとかはなくて、へぇ、お母さんと同じなのか、なんて考えた５才の私はきっとそこからおかしかったのだ。
母はほとんど家に居なかった。それでも私は特に困らなかった。ご飯や服は母が居ない時にも誰かしらによって運ばれ、そして溜まり過ぎたあれこれは知らぬ間に家から消えていく。それすら母を想う人たちがやっていることだと気付くのに時間はいらなかった。
夢見るような顔をして、男たちは母にあれこれを貢いでいった。その場に複数の男が居るのにも関わらず争いは起きない。豪奢な部屋の真ん中で傅かれ愛を囁かれながらも一瞥もしない様子は、さながら女王か何かのようだった。
「これはお母さんの個性なの？」
「ええ」
「私にもできる？」
「そうね。やりたいの？」
やりたくなかった。
道徳的な理由とかではない。ただただ自分勝手な理由だった。
“だってお母さん全然楽しそうじゃないし”
浮かんだ言葉は飲み込んだ。それが澱となって胸に蓄積されていって、その想いは次第に大きくなっていく。
何をしていても楽しそうじゃない母、その母を特に何かを思うこともなく眺めてきた私。
何不自由無い空っぽな日々だった。
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えま(プロフ) - えるさん» 読んでくださってありがとうございます！！ 轟くんをカッコよく書けていたなら嬉しいです！！ 加賀美ちゃんの父親についてはご想像にお任せしときますね(*´ω｀*) 続編は、何か思い付いたら書くかもしれません！ 何はともあれありがとうございました！ (2018年11月1日 23時) (
レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
える - 加賀美ちゃんの青い目って、、もしかしてお母さんと相思相愛になったのは八木さんだったり！？父親はもしかしてっ！？なんて凄い妄想してしまうほど久しぶりにとても楽しいヒロアカ(焦凍くん)小説が読めました！ありがとうございます！ (2018年11月1日 20時) (レス) id: 1eed16b69d (このIDを非表示/違反報告)
える - 轟焦凍君がいつも以上にかっこよく素敵にみえました＾ｖ＾！ (2018年11月1日 20時) (レス) id: 1eed16b69d (このIDを非表示/違反報告)
える - すっごくとっても楽しかったです！ぜひ続編を書いてほしいです＾＾！希望！ (2018年11月1日 19時) (レス) id: 1eed16b69d (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - か○ぴすさん» わーいかるちゃんありがとう！！ 書きたいように書けて楽しかったです() 弔くんのも読んでくれてありがとーう！！ (2018年8月24日 19時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
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