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10.なんで。 ページ10

練習試合が終わると、俺は校門へ向かった。



そこで、烏野の皆を待つ。



定番だと思うんだ、この出方。



俺だから、キマるけど。






しばらくすると話をしながら近づいてくる黒い集団。



やっぱりさすがは主将君だ。




それに、あのチビちゃんの速攻。




厄介この上ないけど、ゾクゾクする。





それからなんといっても――――





「…………飛雄」




「…………っ…」




『コート上の王様』



卒業してから聞いた、なんとも誉れ高い後輩の異名。



そっちでも、やっぱり王様をやっているんだろうか。




……俺にとっては、どっちだっていいことだけど。




ムカツク後輩を指さして。





「――俺はこのクソ可愛い後輩を、公式戦で同じセッターとして、正々堂々叩き潰したいんだからサ」







…………宣戦布告だ。






楽しみにしてるよ、烏野。






手を下ろして、校舎へと戻――――




「いだっ!」




……らなかった。




頭に何かの痛みを感じて振り向いた。




「ったいなあ、何…………え」



「なにしてんの、馬鹿徹」





なんでAが、ここにいるの。



チョップの構えのままでそこに立つA。




あれ、橋本は……。



そう思い周りを見るけど、姿は見当たらない。




状況がわけわからないまま、Aは俺の腕を引っ張って行く。




キョトンとした烏野の前へ立つと、俺の頭を抑えながら頭を下げた。





「このバカが、失礼なことをしました」



「あ、い、いえ……」



主将君が戸惑いながら返事をする。




…………って、そうじゃないよ。



なんで俺流されてるの。




「ねえちょっとA……」



「影山、久しぶり」


「あ、ウス……」



「ねえ聞いて」






不思議なものを見るような目をしている烏野にAは「失礼します」と言うと、グイグイと俺を引っ張って行った。







え?


何、どういうこと。




「ねえ、A、なんでここにいんの」



デートだって、言ってたのに。




「忘れ物したから戻ってきたの」



「アイツとデートじゃなかったの?」


「先に帰ってもらったの」




俺の顔を見ないまま、どんどん進んでいく。



体育館に着くと、やっと俺の腕から手を離し、振り返った。





いつもの、あの落ち着いた顔。






「格好良くもないのに、格好つけて人指ささないの」







…………ひどくない。

11.待っていた。→←9.厄介な。



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あお - この作品ほんと大好きです! (2022年9月22日 22時) (レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです() (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
イエーーーイ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした! (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年9月27日 12時

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