【ハイキュー!!】特別だってことは、確かなんだけど。【及川徹】

8．嘘でしょ。 ページ8

Aと楽しそうに話す男。



あの男、見たことある。


確か一組の……『橋本有志』だったっけ。



女の子たちがイケメンだの優男だの言っていたのを聞いたことがある。



……まあ俺には負けるけどね。




確か、モテるんだとか。

彼女がいたことも何度かあるとか。



……まあ俺には負けるけどね。





そんな奴が、どうしてAと？



Aも笑ってアイツと話しているけど、その笑顔は違う。

心からの笑顔ではなくて、緊張してたり、気を使っている笑顔だ。





「……うん？どういうこと？」



これに驚いているのは、もちろん俺だけじゃない。


スマホをいじっていた岩ちゃんも、ゲームを途中で忘れながら二人の様子を見ていた。




少しの間話をしたAは、アイツと別れると再び席に戻ってきた。



その顔は、先程とは違う。



明らかに、何かを警戒して、これから起こることに嫌な予感を感じている顔だ。



わかりずらいけど、わかるよ。





「……えーっと、誰？」




俺が聞くと、Aは「やっぱり……」とあからさまに肩を落とした。


俺に聞かれるのが、そんなに嫌だったの。


なんなのさ。




少しムッとしながらもう一度聞くと、Aはボソボソと声を出した。







「……え？何？」





「だから、そういうことだってば」




「そういうことって、どういうこと」






はあ……とため息をついたA。





今度はしっかりと俺と目を合わせた。








「…………お付き合い、してる」






「へえーそうなんだー…………って、は？」






危ないよ、普通に流すところだったよ。




耳を疑った。



『お付き合い』？



お付き合いって、そういうこと？




「…………なにそれ、知らない」


「だって言ってない」


「いや……そうだけどさ、でもさ、」


「だって言ったら徹、絶対面倒くさいもん」




そうかも、しれないけど。



だって、こんなの初めてだ。



今まで、Aに彼氏がいたことはなかった。


だからこそ驚きを隠せないわけで。




「え、じゃあ、今日の試合見に来れないのって……」




「……うん、デートしようって言われた」




「…………」







…………嘘でしょ。

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