6．聞いたことのない。 ページ6
――あの時に、改めてAの存在は大きいんだなって知った。
いつもは強気な岩ちゃんも、なんだか涙ぐんでたし。
俺は、鼻血が出てない方からは鼻水を垂らしたし。
「……二人が頑張ってること、私は知ってるからね」
「…………」
「………」
思わず黙りこむ俺たち。
多分、俺たちの事を一番近くで見てくれたのはAで。
俺も岩ちゃんも、それに安心している。
「たしかに影山は天才だけどね。だけどそんなの仕方ないでしょ」
「…………」
「徹は『努力の天才』だから」
ポンポンと俺の頭を撫でる手は、あの時と変わらず温かい。
「岩泉も、主将がこんなんだから大変だろうけど」
「あだっ」
俺のおでこにデコピンをして、岩ちゃんを見上げたA。
「岩泉がいないと青城バレー部はめちゃくちゃになっちゃうからね」
「……おう」
俺だけじゃなく、岩ちゃんの中でもAは特別。
その特別の意味が明確ではないのも同じかな。
Aは、俺にとって何なんだろうなあ……。
――――特別だってことは、確かなんだけど。
――月曜日。
明日は烏野が来る。
練習試合、楽しみだなあとウキウキ歩いていた。
だけどさっき岩ちゃんが俺に言った言葉。
『お前は病院行くんだろ！その捻挫を完治させてからだ、試合は！』
「岩ちゃんめー」
ウキウキからプンスカへと変わる。
放課後、体育館への道を歩いていると、見慣れた後ろ姿。
「あれ、A！」
「……あ、徹」
なんか、急いでるのかな。
少し息が切れてる。
「どうしたの？」
俺が近づいて問うと、珍しく視線を泳がせる。
「えっと、なんでもない」
……なんでもなくないでしょ、これ。
なんか隠してる。
前に、『私はつけるかな』とか言ってたくせに、やっぱりAだって俺に嘘つけないんじゃん。
俺はフッと笑って。
「なんか嘘ついてるー俺にはお見通しなんですー」
プッスーと指をさして言うと、Aは少し驚いた顔をして。
「たしかに、そうかも……」と髪を耳にかきあげた。
「あのね徹、明日の練習試合、見に行けなくなっちゃった」
「…………え」
Aは、俺が聞いたことのない言葉を発した。
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あお - この作品ほんと大好きです！ (2022年9月22日 22時) (
レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです（） (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
ｲｴｰｰｰｲ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした！ (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼空
| 作成日時：2014年9月27日 12時
