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34.その時。 ページ34

はあ?と目を丸くした。


それでも岩ちゃんは表情を変えず、力を緩める気配はない。



だけど、訳のわからない岩ちゃんの言葉と、今までの溜まっていたものを大人しく抑えられるはずもなくて。




「なにそれ、意味わかんないんだけど。ってか、何気持ちって、そんなの俺が聞きたいよ!」





『Aが好き』


そう気づいて。



彼女の気持ちを知りたくなった。


だけどAは、俺のことを男として見ていない。




だからこそ、頭にきた。




「俺だって、今更過ぎてわかんないんだよ!」



「だからって、テメェの一方的な気持ちをぶつけてもいいのかよ!」



「じゃあどうしろっていうの!?」






俺たちの口論が教室内で震えた。



余りにも大声だったからか、他クラスの人たちまで見に来ている。



いつもは笑って見ているクラスメートも、明らかに雰囲気の違う俺たちに、慌てて止めに入ってきた。





俺だってわかってる。


これは、いつもの冗談な会話じゃない。




俺も岩ちゃんも、本気だった。





「意味わかんないよ……なんなの、岩ちゃんも……」




…………Aも。








――――ガラッと、扉の開く音。





シーンとした室内に大きく響いたその音に、全員が振り返った。






「え…っちょっと、A?どこいくの?」



友達の声にも振り返ることをしないAは、そのまま教室を出て行った。





「……………………」





思わず俯くと、目の前にいる岩ちゃんが、短く溜息を吐いた。





「……アイツ、俺にだけ話してくれたことがあんだよ」




岩ちゃんに、だけ?




なにを?と思って顔を上げても、岩ちゃんは黙って首を振った。




「俺から言うことじゃねえから、言わねえ」



「……?…どういう……」





頭の中は、ハテナばかり。



首を傾げると、岩ちゃんは腕を組み直して言った。






「――お前に言わなきゃいけねえ時が来たら、言うんだとよ」









――――今が







"その時"だと思った。





何故だかわからないけれど。





今だと、何かに言われた気がした。





突き動かされるように、俺は教室を飛び出した。






おかしいな。





気まずくて、会うのも嫌だったのに。







今、すごく。





Aに会いたい。

35.それって。→←33.いつもと違う。



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あお - この作品ほんと大好きです! (2022年9月22日 22時) (レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです() (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
イエーーーイ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした! (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年9月27日 12時

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