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4.他愛もない。 ページ4

「先生ー今日はバレーダメですかあ?」


「ダメに決まってるでしょ、安静にしてなさい」



保健室の先生がピシャリと言う。


椅子に座りながら、湿布と包帯の巻かれた片足をプラプラと動かした。



「捻挫とか、久しぶりだなあ」



練習中に不注意で捻挫。


バレーでは多い怪我だ。



きっと戻ったら岩ちゃんからこっぴどく怒られるだろうな。




先生に挨拶をして保健室を出る。


ヒョコッと足を引きずりながら体育館に向かった。





「岩ちゃーん、捻挫しちゃったー」


「このボゲカスクソ!」


「ボール痛い!」




一年生が後ろの方に用意してくれた椅子に腰掛けた。


岩ちゃんすごい怒ったけど、「帰れ」とは言わないところが優しいところ。



本当、主将が何やってるんだろう。


バレーしたいなあ。


明日には治らないかなあ。




「……治らないでしょ」



「だよねえ……って、え?」



声のした方を向くと、扉に寄りかかるようにして立っているAがいた。



「え、なんでいるの」


「岩泉がメール送ってきた。ほら」



そう言ってスマホを目の前に見せる。



そこにはメールの画面があって、『クソが捻挫して暇そうだから相手してやってくれ、視線がウザくて困る』とシンプルなメール。



「視線がウザくて……」


「バレーバカには耐えられないね、この状況」



目の前で皆が練習をしてるのに、できない状況。



確かに、耐えられない。



暇だったから来てあげたよ、と言って俺の隣の床に座ったA。



Aがいるなら、バレーが出来無くてもどかしい感情も、少しは薄れるかもなんて。




やっぱり、俺の中では特別だ。



他の子だったら、こんな風にリラックスできない。



きっと貼り付けたような笑顔を出して、疲れちゃう。




「……徹、私の前じゃ嘘つけないもんね」



俺の心を見透かしたように言ったA。




そうかも、と返せば、面白そうに笑う。




「……でも、Aも俺に嘘つけないでしょ?」



「私はつけるかな」



「なにそれ」




他愛もない会話。

5.温かかった。→←3.わかってくれる。



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あお - この作品ほんと大好きです! (2022年9月22日 22時) (レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです() (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
イエーーーイ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした! (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年9月27日 12時

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