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17.気分が悪い。 ページ17

校門から少し離れた場所にある二台の自販機。



一人の男子生徒が辺りを見回しながら、そこに立つ。


その後、女子生徒が歩いて来る。


二人は再び辺りを見回して、寄り添って歩き始めた。





――――なーんて。



「そんな簡単にさせるわけないデショ」



「!?」





建物の影から、俺は二人の前に姿を現した。



心底驚いた顔の橋本に、「及川君!?」と別の意味で驚いている女。




「…………やあ、橋本君」



「……っ…及か…」



「Aとの週一デートはどうしたのかなあ?」



俺の言葉に、ぐっと言葉を詰まらせる橋本。




隣にいた女も、俺と橋本を交互に見て焦りを顔に浮かべている。




「ねえ、君は橋本君の何?」


「えっ…………友…達……」


「ふーん?彼女がいる男の家にそんな風に腕まで組んで遊びに行くんだ?」


「……っ」



そう言うと、パッと橋本から離れる女。



悪いけど、俺は女の子に手を出すつもりはないからねえ。




「……俺、橋本君に用事があるんだ。帰ってくれるかな」



「……っ…」


「!?…おい、おま――っ」





橋本の方には目もくれず、身を翻して走って行く女。



取り残された橋本は、俺の顔を見て、再び目を逸らす。





「……なんの用だよ、及川」



「…………あの女、誰」



「関係ないだろ、お前には」



「……Aはどうしたの」




自然と、声が低くなった。



それに気づいた橋本は、やっぱり俺とは目を合わせることはなく。




「……あんなん、別に本気じゃねえっつーの」



「…………」



「ちょっと親しくなって告ればすぐオッケー出してさ。遊びに決まってんじゃん。大体、俺があんな大して可愛くもないお固そうな女なんかに本気になるわけ――――」




――――ダンッ




静かな道には似つかない音。





痛そうに顔を歪める橋本。




無意識に俺は橋本の胸ぐらを掴みあげて、壁に押さえつけていた。






あーあ、本当に気分が悪いな。




「…………もう一回、言ってみなよ」



「…………っ…」



「Aがなんだって?お固い?大して可愛くもない?それはAがお前に心を許してないからに決まってるでしょ」






Aは、すごく静かだ。



だけど俺たちと話している時のAは、笑ったり、悪戯っぽい顔をしたり。




表情をコロコロ変える、可愛い子だよ。

18.一緒にしないで。→←16.必死な二人。



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あお - この作品ほんと大好きです! (2022年9月22日 22時) (レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです() (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
イエーーーイ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした! (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年9月27日 12時

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