検索窓
今日:6 hit、昨日:194 hit、合計:655,245 hit

14.やっぱりね。 ページ14

放課後。


岩ちゃんに引きずられるようにして、俺は午後練に参加していた。


本当は橋本のことを徹底的に調べたかったんだけど。




「よーし、じゃあ十分だけ休憩ねー」




ドリンクとタオルを片手に、俺は体育館の入り口に立つ。



熱のこもった体育館は蒸し暑く、吹く風が冷たくて気持ちいい。





「……ふー」



壁に寄りかかって、スポドリを口に含んだ。





「――、」


「――――、……」



「ん?」




微かに聞こえてくる話し声。



俺のファンの子はほとんど上で見ているし、練習の邪魔になるため下で見ることは遠慮してもらっている。



それにこの体育館は校舎からはそれほど近くないし、大きいけど割と敷地内の端にあるため、普段はあまり人は来ないんだけど……。




「体育館裏で呼び出し、とかって実際にあるもんなのかな」



ほんの興味で俺は、声のした方へ足を踏み出した。




近づくと、声がもっとはっきりとしてくる。




「――、……で……橋本――…」



……ん?
 
 

橋本?



体育館の柱に隠れて、ヒョコッと顔を出した。





そこにいたのは。





「橋本君、彼女いるでしょ?なのに私と遊ぶなんて――」



「大丈夫大丈夫、アイツそんなこと分かるような奴じゃないし」





――――橋本、と、知らない女の子。



俺には気づいてないようで、二人は壁にもたれながら会話をしていた。





「でもさあ〜、彼女大丈夫?もし私が逆恨みとかされたら……」


「平気だよそんなの、アイツ普段静かでちょっとお堅い感じだしさァ」



「なんだっけ……A?だっけ?」



「そうそう。別に見た目は普通だけど、遊びがいありそうな奴だったから告ったら予想通り即オッケーだっただけだし」



「やだぁ、ひどーい橋本くーん」







「………………」





――――うっわあ、本当にひどーい。



フツフツと湧きあがってくる怒り。




ブチッと行きそうだ。





何、Aのことそんなふうに言っちゃってんの?



遊び?



はっ、やっぱりね。


変だと思ったよ。






これはもう…………





「――黙ってるわけには、いかないね」



「ああ、そうだな」






「え?」





突然聞こえた声。



俺のすぐ後ろには、バレーボールにもう指が食い込んでいる岩ちゃんがいた。




岩ちゃんの顔はもう、原型がわからないほどの鬼の形相。




これは怖い。




岩ちゃん、マジ怒りだ。

15.阿吽。→←13.気に食わない。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1046 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1074人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あお - この作品ほんと大好きです! (2022年9月22日 22時) (レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです() (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
イエーーーイ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした! (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼空 | 作成日時:2014年9月27日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。