14.やっぱりね。 ページ14
放課後。
岩ちゃんに引きずられるようにして、俺は午後練に参加していた。
本当は橋本のことを徹底的に調べたかったんだけど。
「よーし、じゃあ十分だけ休憩ねー」
ドリンクとタオルを片手に、俺は体育館の入り口に立つ。
熱のこもった体育館は蒸し暑く、吹く風が冷たくて気持ちいい。
「……ふー」
壁に寄りかかって、スポドリを口に含んだ。
「――、」
「――――、……」
「ん?」
微かに聞こえてくる話し声。
俺のファンの子はほとんど上で見ているし、練習の邪魔になるため下で見ることは遠慮してもらっている。
それにこの体育館は校舎からはそれほど近くないし、大きいけど割と敷地内の端にあるため、普段はあまり人は来ないんだけど……。
「体育館裏で呼び出し、とかって実際にあるもんなのかな」
ほんの興味で俺は、声のした方へ足を踏み出した。
近づくと、声がもっとはっきりとしてくる。
「――、……で……橋本――…」
……ん?
橋本?
体育館の柱に隠れて、ヒョコッと顔を出した。
そこにいたのは。
「橋本君、彼女いるでしょ?なのに私と遊ぶなんて――」
「大丈夫大丈夫、アイツそんなこと分かるような奴じゃないし」
――――橋本、と、知らない女の子。
俺には気づいてないようで、二人は壁にもたれながら会話をしていた。
「でもさあ〜、彼女大丈夫?もし私が逆恨みとかされたら……」
「平気だよそんなの、アイツ普段静かでちょっとお堅い感じだしさァ」
「なんだっけ……A?だっけ?」
「そうそう。別に見た目は普通だけど、遊びがいありそうな奴だったから告ったら予想通り即オッケーだっただけだし」
「やだぁ、ひどーい橋本くーん」
「………………」
――――うっわあ、本当にひどーい。
フツフツと湧きあがってくる怒り。
ブチッと行きそうだ。
何、Aのことそんなふうに言っちゃってんの?
遊び?
はっ、やっぱりね。
変だと思ったよ。
これはもう…………
「――黙ってるわけには、いかないね」
「ああ、そうだな」
「え?」
突然聞こえた声。
俺のすぐ後ろには、バレーボールにもう指が食い込んでいる岩ちゃんがいた。
岩ちゃんの顔はもう、原型がわからないほどの鬼の形相。
これは怖い。
岩ちゃん、マジ怒りだ。
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あお - この作品ほんと大好きです! (2022年9月22日 22時) (レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです() (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
イエーーーイ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした! (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年9月27日 12時