私の好物はバレー部の指です。

私の好物　４ ページ4

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「えー、前々から言ってた通り明日から合同合宿がある。
場所は東京。荷物はこの前分けた紙に書いてあるからそれを見て準備するように」







清水さんが選手たちに合宿の紙を配布し、最後に私達マネにも渡してくれた。
上から順に読んでいき、〈参加校〉の欄にとんでもないものを見つけた。




────青葉城西




これはもう最悪としか言いようがない。


この学校の名前を見た途端、急激に合宿に行きたくなくなった。
すごく行きたくない。めっちゃ行きたくない。あいつに会いたくない。







「すみません澤村さん」

「どうした？」

「私、合宿休ませてもらいます」

「おう。……はぁ！？」







全員がこっちを向き、ありえない、とでも言いたそうな顔で私を見た。
私はその視線から目をそらし、たらりと汗を流して口をつぐむ。



ホントに、ホントに会いたくないんだよ。あいつには会いたくない。



だから休ませてください。







「な、なんでだ？あんなに部員の指触りたいって叫んでたじゃないか！」

「触りたいです！めっちゃさわさわ触りまくって写真に収めたいです！」

「え！？じゃあなんでだよ！？」

「……会いたくない人がいるんです。もう2度と会いたくない人」







みんながキョトンと首をかしげる。


私は俯いたままなにも言えずにいたら、ぽんっと肩に手を置かれた。
振り返ると、清水さんが笑って「大丈夫よ」と言う。



…っえ、女神…



なぜか田中さんや西谷さんが興奮しながら倒れる。
私は大丈夫の意味が分からないままとりあえず少し笑った。







「Aちゃんになにがあったかは分からないけど、私達がついてるわ。
大丈夫、辛かったら先輩に頼りなさい」

「しっ、清水さん…」

「Aちゃん！わわ、私もついてるからね！」

「谷っちゃんまで……ありがとう」

「それに合宿行ったらきっとみんな指を思う存分触らせてくれるわ」

「えっ！？まじっすか！！」

「えっ！？そうなの！？」







あーやっぱり合宿行く。(指のためにも)







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