ウィンドー・ショッピング ページ10
「鍵はお持ちですか？」
子鬼が訪ねると、どこから取り出したのか父が「ある」と断言した。その手元には小さな黄金の鍵が光っている。子鬼は、慎重に鍵を見てから「承知いたしました」と言って別の子鬼を呼んだ。金庫へ案内してくれるらしい。
子鬼が扉を開けると、中は松明に照らされた通路だった。急な傾斜の先に小さな線路がある。子鬼が口笛を吹くと小さなトロッコが線路を上がってきた。
トロッコは冷たい風を切ってビュンビュン地下に潜っていく。
刺すような寒さを感じたが、私の胃の中はグラグラ揺れて吐き気が催される方が大きかった。母も同様らしい。父はどうして真顔でいられるのだろう。
小さな扉の前でやっと止まった。降りてから数分間は吐き気で気持ち悪かったので、私は通路の壁にもたれかかっていた。私よりは早く回復した母と父が必要な分のお金をバッグに詰め込んでくれた。
グリンゴッツから出ると、私は間もなく盛大に吐くこととなった。
「うおえええぇ…うう、きぼじばるい(気持ち悪い)」
私の嘔吐物は父がきっちり消してくれた。なんだか吐いたらすっきりしたような…いや、もうこのことを考えるのはよそう。
母は吐きはしなかったものの結構まいっていたようだったので、漏れ鍋で元気薬を飲んでくると言ってその場を去った。
父は父で買う予定だった魔法薬の材料を買いに行くと言ってその場から姿を消した。
「結局私一人か〜…まっ、いいか。制服買いにいこっと」
私はマダム・マルキンの洋装店にて制服を購入し、羊皮紙と羽ペン、教科書、大鍋、薬瓶、望遠鏡とあと秤も買った。ペットは必要ないし、基本的な魔法薬の材料だったら父からもらえばいい。杖も購入した。そこの店主のオリバンダーの情報によれば、シナに不死鳥の羽、29センチ、良質でよく曲がるのだそうだ。
買い物を終えた後、ちょうどハリーに会った。大きな人が一緒。
「ハリー、また一緒だね！その人誰？」
「うん！ハグリッドだよ。ホグワーツの鍵と領地の番人なんだって」
ハグリッドはニコッと笑って「よろしくな」と握手を求めてきた。
「梟、すごく綺麗だね」
「ハグリッドに誕生日祝いで買ってもらったんだ！」
誕生日？言ってくれれば良かったのに！
半ば失望しながらも先ほど見つけた雑貨屋さんで気に入っていた商品を買って戻った。暇で覗いていたのがある意味役に立った。
「わ、私からも誕生日祝い…！」
ゆっくり手渡すと、ハリーは「ありがとう」と柔らかく微笑んだ。
ラッキーアイテム
憂いの篩
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヘルガ(プロフ) - 笹野紗空さん» お父さんに会うことは確実なんですけど、どうなるかはご想像に…wこれから更新行ってきます、コメありがとうございました！ (2014年8月18日 15時) (
レス) id: 8c120b56a9 (このIDを非表示/違反報告)
笹野紗空(プロフ) - この小説大好きです！第二夢主さんがお父さんに合ったらどうなるのやら…ｗ 更新おつかれさまです！がんばってください (2014年8月12日 10時) (レス) id: db97eba549 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヘルガ | 作成日時：2014年8月7日 12時
