初めての友達 ページ2
「ねぇ、上陰さん」
名前でいいよ、と言うと、ハリーは少々驚いてから続けた。
「…風花さんは」
呼捨てで良いって、と言うと彼はちょっとはにかんでから続けた。本当誰かさんと違っていい子だ。
「風花は、なんで僕を助けてくれるの？風花だっていつも悲しそうなのに、人を構えるなんてすごいよ。いつも思うけど、風花は強いよね」
一生懸命話してくれるハリーの言葉は、きっとおだてているわけではなく本心からなのだろう。私は心があったかくなる感覚を覚え、自然と頬が緩む。そんなことないよって笑って返す。
「私だって強いわけじゃない。正義感なんてつもりは一つもないけど、困っている人がいれば助けるのが普通だし。弱い者いじめする人の心は私より弱いと思うけどね」
ふっと笑うと、彼は頬を赤くさせた。さっきから一生懸命話すせいで蒸気も立っているのだろうか。
「そう思えるからこそ、君は僕にとって尊敬する人なんだよ」
ニコッと笑う。私は本当に辛い時は笑うことなんかできない。私もハリーから見れば強い人みたいだけど、ハリーだって私にない強さがある。彼はちっとも弱くなんかない。人それぞれということだ。
バスケットの中身が空っぽになる頃には大分時間がたっていた。結構それまでに話し込んだし、今までより仲が深められたような。今日は私にとって特別な日になりそうだった。
「ねぇ、ハリー…」
「何？」
私たち、「ちゃんとした友達」になれるかな？いや、もうなれてるかな？なんて、軽々しく「友達」と言う言葉を使おうとしていた自分に気づき、ハッとして口を押えた。そんな私を見てハリーは不思議そうに首を傾げる。
友達、と言う言葉は軽々しく使ってはいけないのだ。母から聞いた話だが、学生時代母は軽々しくその言葉を何度も口走ってしまったのだと言っていた。言葉とは重たいものだ、だからなんでも軽々しく口にしてはいけないのだというのが、母の結論であった。
しかし、私の一番の望みはまさしく「ちゃんとした友達を作って仲良くなれること」だった。だとするならば、今望みがかないそうなこの時に、友達以外の言葉を使うことができるだろうか？
少々母に心の中で謝罪してから、私は再度口を開いた。
「…私たち、友達になれる？」
しかし驚くべきことに、その問いに対して酷く目を見開いたのは私ではなく、ハリーだった。
「全然、いいに決まってるじゃないか！」
こうして私とハリーは晴れて友達となったのであった。
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ヘルガ(プロフ) - 笹野紗空さん» お父さんに会うことは確実なんですけど、どうなるかはご想像に…wこれから更新行ってきます、コメありがとうございました！ (2014年8月18日 15時) (
レス) id: 8c120b56a9 (このIDを非表示/違反報告)
笹野紗空(プロフ) - この小説大好きです！第二夢主さんがお父さんに合ったらどうなるのやら…ｗ 更新おつかれさまです！がんばってください (2014年8月12日 10時) (レス) id: db97eba549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヘルガ | 作成日時：2014年8月7日 12時
