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僕には前世の記憶があるんだ。
人にそう言えば笑われてしまうけれど、冗談ではないのだから仕方がない。

僕は魔法使いだった。

三大魔法学校と呼ばれる学校のうちの一つで学んでいた。
僕はそれなりに優秀で、寮の監督生に選ばれたりもした。

でも、僕は死んだらしい。

らしい、と言うのは死んだ瞬間を覚えていないから。
そこら中から焦げと鉄の匂いがしたのは覚えている。

酷い戦争だった。

奴が、例のあの人がやって来て、学校は戦場と化した。

僕も精一杯戦って、もしかしたら何人か殺したのかもしれない。
いつしかエピスキーも使えなくなって傷が癒せなくなった。
決して小さくはない傷口から血が止まらなくなっていった。
もうダメだと思ったんだ。
その時だった。
彼が、英雄が例のあの人を倒したって。
微かに、歓声が聞こえた。

けど、それ以上の記憶は僕にはない。

恐らく僕は、その時死んだんだと思う。

17歳だった。1998年5月2日。
卒業したら、魔法省に就職して、結婚をして、家族を持って、幸せに暮らすはずだった。
婚約者がいたんだ。
彼女は可愛くて愛くるしくて、笑顔はまるで花のようだった。

本当に、愛していたんだ。

彼女を守りたかった。
あの戦争で、彼女が生き残ったのかさえわからない。
ただ、生きていてほしいと、幸せになってほしいと願うことしか、僕にはできないのが悔しかった。

そして、守れないなら愛せないと、
愛す資格すらないと思った。


終焉から8年が経ち、僕は2度目の生を受けた。
自分が魔法使いであったという記憶を持ちながら、マグルの世界へと産み落とされた。


僕は二度と人を愛さないと誓った。
愛しても守れないのだから。


そして、もう二度と誰かに命を奪われないように、強くなろうと思った。




今年僕は12歳になった。
11歳の誕生日、入学許可証は届かなかった。

どうやら、この世界に魔法は存在しないらしい。

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nuza948(プロフ) - すごく面白いです!だけどコナン君には少しイラッとしてしまいました笑 (2023年3月17日 19時) (レス) id: 2ef87b9876 (このIDを非表示/違反報告)
vermilion(プロフ) - しゃとれさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてとても嬉しいです!励みになります! (2018年10月21日 19時) (レス) id: 1c7a073185 (このIDを非表示/違反報告)
しゃとれ(プロフ) - すごく面白かったです!HPもコナンも好きなのでこういうコラボすごく大好きです!更新頑張ってください!たのしみにしてます^-^ (2018年10月19日 23時) (レス) id: 57b1390f13 (このIDを非表示/違反報告)
vermilion(プロフ) - 月まで行けちゃいそう?さん» わぁー!教えていただきありがとうございます!!某チョコ菓子に頭を占領されておりました...汗 (2018年10月19日 18時) (レス) id: 1c7a073185 (このIDを非表示/違反報告)
月まで行けちゃいそう? - 24話、ポアロがアポロになってましたよ〜。(^_^;) (2018年10月19日 17時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:vermilion | 作成日時:2018年8月21日 0時

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