１２・ぼうけんがはじまる！ ページ13
「本当に二人きりで大丈夫？二人共可愛いから拐かされないか心配だわ…」
『かわいい？うへへへへ…』
「A一匹だったら心配だけど、僕がいるから大丈夫だよ」
『単位が違うくないか？え？おい！』
「ザックの事は信じてるけれど…あぁ、やっぱり違う日にしない？そうしたら一緒に行けるから…」
「…僕の記憶に間違いが無ければ、錬金術師の集会は予定日から二日三日伸びるのはざらだったと思うけどね。最長で半年掛かった伝説の集会は“リンボ”と称されたんだっけか」
「そうねぇ…そんな事もあったわね。あの時は議論が苛烈して――」
「ついでに留守を任せるには幼いからと何度か集会に連れて行かれた事があるけど、一月くらい街に拘束されたのが最後だったかな」
『ひえ』
「ごめんなさいね…つい白熱してしまって。あの時は確か――」
「いや、それはそれで面白かったからいいんだ。
集会が一度始まると終わるまで街から出られなくなるあの仕様はちょっとね」
「入学までもう間もないし、僕等で行ってくるよ」
「おい！まだか！いくぞ！」
「今行きますからね。もう少し待って頂戴」
「お金はいくら使ってもいいから、お願いよ。
きちんとご飯を食べて、ちゃんとお風呂に入って、たっぷりお眠りなさいね。
危ない事は避けて、怪我はしないこと。
お勉強もして欲しいけれど…無理は言わないわ。
貴方達の可愛い笑顔が見られたら満足だから、どうか安全に過ごして頂戴」
『ほんとにほんとに大丈夫だよー！ママ達も気を付けてね！』
「じゃあ行ってきます。…ザック、頼りにしていますよ」
「任せて。ペレネルさん」
『下手すっとアレ全部フラグなんだけどどう思う？ザック』
「旗？」
『あー、何でもない』
「……言葉にすると現実になりかねない、という意味なら、最悪死ななければいいだけだろ。
大した事じゃない」
『何言ってんだこいつ』
「さ、僕等も粛々と自由を謳歌するとしよう。少なくとも今回は一週間くらい延びるはずだ」
『何で分かるの？』
「集会に来そうな錬金術師を知れば、おおよその見当はつくようになるものさ」
『何言ってんだこいつ』
(それいけ！とびだせ！)
続く
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作者名：うすしお | 作成日時：2019年10月8日 9時
