おまじない【CS】 (ページ37)

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字を書くこと(万年筆のみ)

字を書くことは好きと言うことに間違いはないが、厳密に言えば「万年筆で文字を書くことが好き」である。もちろん字を書くこと自体好きであるため、なんとなく顔を綻ばせているが、万年筆になると顔がゆるゆるになる。
どんなに忙しくても字を書くために、小学校6年生から毎日欠かさず日記をつけている。1日の内容だけで軽く5ページは余裕だと語った。

澪が文字を書くことが好きになったきっかけは、母親から習った書道だった。
当時の澪は小学校入学したばかりで、うまく字が書けずに周りの人から笑われていた。家に帰ってくる頃には涙で顔がぐしゃぐしゃになっていて、母親はとても焦ったことだろう。
始めたきっかけは、「笑ってきた奴らをもれなく全員見返してやろう」という母からの提案であった。
母の実家は小さい子向けの書道教室を開いていたことから、必然的に当時子供だった母文字が上手くなっていた。そのため、子供に字を教えるくらいならお安い御用といったところで、帰ってきてすぐに澪と猛特訓していた。
教えれば教えるほどよく吸収し、上手くなっていく澪に引っ張られて、小学校1年生の秋頃には小学校で習うはずの漢字を全て上手に書けるようになってしまった。もちろん漢字だけではなく、平仮名も込みで。
持ち前のプライドの高さと負けず嫌いで書道の展示会では最優秀賞を受賞した経験もある。

学校でも、クラスに留まらず学校で1番上手いとクラスで騒がれている。それに対して澪はどうでもいいような顔をしているが、実は嬉しそうだったりする。心の中では喜んでいるのだ。

字を褒められると隠しているつもりで隠しきれない嬉しさが込み上げている。やはりチョロいのだ。

もちろん他に遊ぶものをなかったと言えばそうだが、それでも上達するためにはそれなりの心構えが必要である。
いくら字が上手くとも電子機器が発展してきた現代において、文字を書くことが大好きな変人は澪くらいであろう。

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