おまじない【CS】 (ページ36)

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│好きなこと・ものページ36

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《好きなこと・もの》

読書

澪の好奇心旺盛さが、読書を好きにさせた。自分の知らない世界を知ることが好きだし、自分になかった発想を得ることも好き。
自分が足を踏み入れたことがない世界、なんなら存在すら知らなかった世界に興味が惹かれる。
感受性や感情移入もできるタイプであるため、自分の体験できないことを擬似体験するような感覚で小説分を楽しんでいる。自分が知り得なかった知識、自身の考えを根底から覆されるような感覚が好きなため、自分の考えとは真逆な論説文を読んでいる。

唯一苦手なジャンルは哲学。
考えても答えのないものを考える時間は澪にとって無駄でしかない。そう思ってしまうため、読んでいてとても時間を浪費したような感覚になり、妙にイライラしてしまうため好きではない。

哲学系以外ならどんなジャンルでも好き嫌いなく読むことができる。
また、本好きではあるが、図書館や書店に出向くことはない。理由は単純、家に腐るほどあるのだ。家の本でさえ自分の身長よりも大きい棚10個分は読み切れていない。
わざわざ買わずとも、自分の家にあるものを読めばいいと思っているし、実際にそれで時間を潰せている。

小さい頃から地下にある書庫が好きだった。
地下にあるということもあって、なんだか秘密基地のようなわくわく感があった。まだ小さかった頃は、兄と一緒に読書をしにいくと言って書庫で花札をしていたこともあった。
何回目かで父親にバレて、酷く怒られた記憶が書庫で読書をしている時にふと蘇る時がある。その時は寂しさと悲しさと虚しさと怒りが混ざった変な感情に襲われてしまって、嗚咽混じりに泣いていることがある。泣くということができるのは、此処に誰も来ないと確信しているからだ。古い紙の独特な匂いと妙な安心感に包まれて、澪は一人で泣いている。ひとしきり泣くと、いつも通りの澪に戻ることができる。これは澪なりの切り替え方なのだろう。この時間は誰も邪魔してはいけない。

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