【QK】一番近くて、遠い場所。〔Fkr〕 (ページ15)

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Side You

夏は嫌いだ。
毎日毎日晴れている。

でも、そんなことどうでもいいくらい福良と過ごした日々は輝いていた。
でもふと思ってしまった。

汚れに汚れた私では、もう一緒に入れないことを。
薄々気がついていた。
私は福良のそばにいていい人間じゃない。
離れなきゃいけないってことを。

ただその時が、来ただけ。

前、夜遅くにオフィスで会ったとき持ってきたキャリーケースに荷物を詰め込む。

福良が帰省して家に居ない今がチャンス。

立つ鳥跡を濁さず、ってことざわがあるように私が居た痕跡はすべて消して。
いよいよ出ていく準備が整った。

「さよなら。」

ただそん言葉だけが誰も居ない部屋に響いて溶けていく。

いつかのように、あてもなくキャリーケースを引く。
でも、前みたいにはオフィスに行けないんだよな。

夏の日差しが私の心の奥まで見透かして嘲笑ってくる。

玄関に置いてあったイカのぬいぐるみを一回だけ撫でれば

好き、だった。

なんて今になって私のこころにその気持ちが湧き上がってきて、慌てて揉み消す。

あ、伊沢には連絡指定おいた方がいいか。
仕事に影響を与えるのは良くないと思い最後の連絡をLINEを送る。

さよなら、みんなにちゃんといいたかったな。

A仕事、しばらく休みたい。
しばらく先までのやることはやってあるはず。
迷惑かけてごめん