斬るのも刺すのも御手の物其ノ弍 (ページ5)

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念仏４行目ページ5

あﾞあﾞあﾞ……
昨日は散々だった……

足の爪は割れるし、縁側から落ちるし、ニッカリにはからかわれるし…

『はぁ…』

「朝からため息デスか？」

『あぁ？ああ、村正か…
いや、何でもない。』

「？、何でもないのにため息が出るのデスか？」

『お前、分かっていて聞いているだろう？
何かあってもこれだけは絶対に言いたくない！』

「おい、村正。
あまり八丁殿に迷惑をかけるな。」

「mu…迷惑でしたカ？」

『まぁ、そこそこ…？』

「ひどい人デスね…
心配して言っていたと言うのに…」

『ほぅ…？まぁ、いいさ。
それよりも、村正、お前は本日出陣の命が降っていたのではなかったか？』

「すっかり忘れていました！」

『早く行ったらどうだ？』

「そうデスね、では、私はこれで失礼します。」

村正はスタスタと大広間を出て行った。
あいつは何気に行動が読めない…

「八丁殿、昨晩は大丈夫でしたか？」

『ん？ああ、昨晩の酒のことか？
あれなら、もう大丈夫だ。心配をかけたな。』

「なら、よろしいのですが…
では、自分はこれで…。」

ぺこりと頭を下げ、村正と同じ部屋へと向かって歩いていった。

さて、オレも部屋に戻るとするかな…
厨へと食器を運び、さっさと自室へと戻った。

その後は、内番も遠征も出陣も何もなかった故。
ゴロゴロと部屋で書物などの娯楽を楽しんでいた。

『親方様は、あの戦以降オレを出撃させてくださらない…。
やはり、期待外れの戦果故にオレはガラクタとみなされてしまったのだろうか…？
あり得ない話ではないな…』

こうも暇だと余計な事まで考えてしまう。
そして、いくら考えても辿り着いてしまうところは悪い結果ばかりだ。

『使われないのならば、ただの物もそれ以下だな…』