斬るのも刺すのも御手の物其ノ弍 (ページ14)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:8,030 hit

念仏１２行目ページ14

『喉が乾いたな…』

「そうですね…」

「腹も減りましたな…」

『…誰か、近くの村に貰いに…』

「「「行きたくありません／ないな。」」」

だよなぁ…

『仕方ない…オレが貰って来よう…』

重たい腰を上げ、歩き出す。
まぁ、疲れて眠っている者もいるし仕方ないだろう。
ここは、隊長のオレが快く受けるしかないな…
本当は行きたくないのだがな…

『じゃあ、水と少しの食料を調達してくる。
ここでじっとしていろよ。』

「八丁殿！」

『ん？どうかしたか？山伏国広。』

「すまないが、包帯を一枚頼めるか？
鶯丸殿の腕から、血が止まらないのだ。」

『な！？何故それを先に言わなかった！！鶯丸！！』

「これくらいならば本丸までもつから気にするな。」

『いや、オレが許さない。
もし、もしもだ。本丸へ戻って腕を手入れして貰っても、その腕が動かなかったら？
お前はどうするのだ？』

「そんなことは…」

『無いとは言いきれないだろう！！
これまで一緒にやってきた仲間が折れるのは御免だ！！
お前が嫌がっても、強制でその腕を包帯だらけにしてやるからな！！』

オレはそう鶯丸に叫ぶと、町のある方へ走り出した。早く仲間を助けたい。その一心で…

「ふふ…」

「如何がなさった？」

「いや、あいつは何処と無く大包平の様に、不器用で強情な奴だと思っただけさ。」

「それが、八丁殿の長所であるな。」