猫

〇if　12.25.Fri ページ37

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「はぁ、……」

「？どしたのまこっちゃん」



隣に座る陸さんが俺の顔を覗き込む。

正直それどころじゃない。



「Aとデートの予定があって、」

「うわぁ、リア充してんなぁ〜(笑)」

「それ時間大丈夫なん？」

「いや、もうだいぶアウトですね……」



わかってた。

この時期は忙しいって、Aも分かってくれてた。


でも……。

きっとAはあの場所で俺のことを待ってる。

そしてきっとAは俺が来るまで動かない。



「……すみません、ここで降ろしてもらっていいですか」

「ここ？！おま、人くそ多いけど頼むから、マジ頼むからバレんなよ、？」



マネージャーさんに無理を言って、俺から指定した待ち合わせ場所に走る。

少し俯きながら顔を隠してこの人混みを抜ければ、あの人通りの少ない穴場スポットに、……、







「……居た」

「……遅いよバカ」

「ごめん」






予想通り、頬を紅くしてマフラーに埋まるAがいた。





「ちょー寒かった」

「ごめん」

「んふ、全然怒ってないよ」



すっかり冷えきってしまったAの手を握って一緒にコートのポケットに突っ込む。



「こんな遅い時間だともう居酒屋ぐらいしかお店空いてないかぁ」

「俺ん家かAん家、どっちでもいいよ」

「じゃあ久しぶりにまことくんの家がいいな」

「いいよ、……って言いたいところだけどウチなんもねぇや」

「んふ、まことくんらしいね」









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