猫

番外編 03.29.　お散歩 ページ35

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「なぁA」

「んー？」




洗面所から呼ばれて、
内容も結末も何度読んだか分からない文庫本をテーブルに置く。


最近は比較的体調も良くて、調子に乗って洗面所まで歩く。

さすがにまことくんにびっくりされた。




「ずーっと同じ景色飽きるでしょ。散歩でも行く？」

「え、いいの？」




さっきみたいに急に歩くなよ、なんてしっかり注意された。

私すごい子供みたいじゃん。(笑)









……



　







「……ということで。“僕の”彼女のAです」

「やぁっと合わせてくれた〜」

「こんな可愛い彼女捕まえたの？そりゃ表情筋絶好調なわけだ」




しっかり“僕の”を強調するまことくんの言葉に口角が緩む。


家で見るふわふわしたまことくんとが所属するグループだとは
思えないぐらいのイカついグループ。

でもみんなやさしくて必ず誰かが隣にいてくれて、
暇になるどころか一人でいる時間なんて全くなかった。




「へぇ〜、幼なじみなんだね〜」

「いーなぁまこっちゃん、こんな可愛い幼なじみなんかいたらそりゃ惚れるわなぁ」




車椅子に座って安静にしてることが絶対条件だったから
もっと暇しちゃうかなぁって思ってたけど、
全くそんなこと無かった。

みんな忙しいのに……大丈夫なのかな……、




「あ、まこっちゃんきた」

「んじゃ、ここはお2人で仲良く、ね？」




陸さんと樹さんはニヤニヤしながらどこかへ行った。

2人と入れ違いになるようにしてまことくんは
私の隣にあるイスに腰掛ける。




「しんどくない？大丈夫？」

「全然大丈夫だよ」

「ん、良かった」




冷えるでしょ、なんて言いながら
膝に掛るブランケットを直してくれた。




「あの2人から変なこと聞いてない？」

「変なこと？」

「聞いてないならいい」

「まことくんが私の隠し撮り眺めてニヤニヤしてるとか？(笑)」

「バッチリ叩き込まれてるじゃん、(笑)」




照れくさそうに俯きながら頭を掻くまことくん。






死ぬまでこの笑顔を見続けたい。

今また改めて強く思った。









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