隠し事なんて。【梵天】 (ページ10)

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＜ココside>

Aからもらった泡チョコをつまみにコーヒーを啜っていると、

幹部専用のスマホが振動する。

このスマホを使うのは任務の緊急報告の時だけだ。

メールの時と電話の時があるが、今回は電話。

それだけ事態が差し迫っているのだろう。

急いでスマホを取り、通話ボタンを押す。

『九井！九井、聞こえるか？』

「ああ、聞こえる
　大丈夫か？」

聞こえてきたのは珍しく焦っている蘭の声。

『今鶴蝶の部下の車にいる
　鶴蝶が撃たれた
　一緒に行った突撃隊から連絡が来た
　とりあえず応急処置はしてある』

「鶴蝶が？」

『そうだ
　背中側から右胸がやられてる
　これ腕も掠ってんな
　心臓を狙われたかもしれない』

心臓が狙われたということは命を狙われているということだ。

相手は確実に梵天を潰そうとしている。

「意識はあるか？」

『さっきまであったが出血が多すぎて飛んだ』

「場所は？」

『竜胆のスマホに俺のGPSアプリ入ってる』

「……分かった
　援軍を向かわせる」

『少しでいい
　アジトは空にするなよ』

「敵の身元は？」

『わかってねえけど多分鳥野
　最近多いからな』

「またかよ…
　まあいい、とりあえず切るぞ」

まずはマイキーに報告しないと。

そのあと三途か望月、それかAの部下を動かそう。

竜胆のスマホが先か。

…あの兄弟どうかしてるよな。

脳をハイスピードで回転させて思考を巡らす。

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『ねえココ！ココいる？』

「A？どうした？」

『やばいよ、どうしよう、ねえ、ココ、』

「落ち着けA
　何があった？」

『私の部下全滅した』

「は？
　なんで…」

『蘭と鶴蝶が襲撃されたんでしょ
　同じ時間に生き残った部下から連絡が来たの
　援軍で行く準備してたらそこを叩かれた
　うちも暴れるのは得意だけど、数で負けた』

「何人いたんだ」

『その部下の話でいくと数百人
　こっちはせいぜい80人くらいだからね
　さすがに無理だったみたい
　その1人を除いたら全て殺された』

「残った1人は逃げたのか？」

『らしいね
　とりあえず私に連絡しないとって思ったって
　相手も自分も銃持ちだからかなりやり合ったみたいだね』

「全滅か…
　ちょっとまずいな」

『でしょ？
　鶴蝶も心臓狙われたって聞いた
　絶対鳥野の仕業だよ』

さすがに勘が鋭い。

しかし、今回の件にAを関わらせるわけにはいかないのだ。

どうしたものか。